COLUMNコラム

高齢な方ほど気になる?筋力低下について

その他

「加齢とともに力が弱くなった気がする・・・」
「だんだんと痩せてしまい、足腰の力が衰えてしまった・・・」
そんな不安を感じたことはないでしょうか。

今回は、筋力低下の原因と筋力をアップさせるポイントを紹介します。
筋力低下の原因を理解し、適切な対策をしましょう!

筋力低下について

筋力低下の一番の原因は、加齢・老化によるものが多いです。

研究によると、
握力や膝伸展筋力は40歳ごろから低下しはじめ、85歳以上になると20歳代の約半分に低下してしまうとの報告があります。
また、高齢者の筋線維は加齢とともに、瞬発力を発揮する筋線維が減少していくことが知られています。
これによって、バランス能力の低下、転倒リスクの増加など、危険な状態になってしまいます。

また、栄養状態も筋力低下に影響を及ぼします。
筋力低下を予防するために、必要な栄養素としてタンパク質が重要になりますが、
加齢とともに食事量の減少、タンパク質の摂取量が減少するため、痩せていってしまうことがあります。
特に、鶏肉・豚肉、魚、乳製品、大豆はタンパク質が多いので摂取することをお勧めします。

以上のことから、筋力低下を予防・改善させることは、
より良い生活を過ごすためにとても大切になります。

筋力トレーニングの効果

それでは、筋力トレーニングの効果について説明です。
加齢による筋力低下の予防・改善としては、筋力トレーニングが現在のところ最も有効な手段であると研究結果で報告されています!
筋力トレーニングを行うとバランス能力の維持や歩行移動範囲の維持など様々あります。
高齢者の筋力トレーニングによる効果については筋力増強・筋肥大の他にも様々な効果が期待できます!

筋力トレーニング実施時の臨床的効果
➀筋量、筋力の増加
➁動作能力の改善
③骨密度の増加
➃有酸素能力(全身持久力)の向上
➄静的、動的バランスの改善
➅関節可動域の増加
➆全体的な身体的活動レベルの増加
⑧転倒予防
⑨身体のエネルギー消費の増加
⑩関節炎の徴候と症状の改善
⑪抑うつ症状の減少
⑫自己効力感の向上
⑬気力の改善
⑭インスリン感受性(血糖値を低下させる働きのあるインスリンが肝臓や筋肉、脂肪細胞などで、正常に作用すること)の増加
⑮肥満改善、内臓脂肪の減少
⑯冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞など)の症状の減少
⑰蛋白質代謝の改善

医学的な言葉でやや難しい内容となってしまいましたが、多くの効果があるとわかります!

多くの効果がある一方で全般的な日常生活動作(以下,ADL)の自立度や生活の質(以下,QOL)の改善に対する根拠は明らかになっていません。
そのため、ADL改善のためには筋力トレーニングに歩行トレーニングなどの動作練習を加え、様々な運動プログラムの導入が望ましいです!

例えば、
立ち上がり練習や階段の昇降練習、家事動作練習などを筋力トレーニングと組み合わせると効果大になります!

リハビリスタジオ群馬では脳梗塞、脳出血、脊髄損傷による後遺症を抱えた方に対して、
運動プログラムを組み合わせながら、ADL、QOLの改善に向けたリハビリの提供、自主練習の提案を行っています。

筋力トレーニングの概要

それでは、高齢者に対する筋力トレーニングはどのようなものがよいのでしょうか?
ここからは概要と注意点についてお伝えします!

高齢者の生活自立・QOL向上のためには長期的な運動習慣の確立を目指すと良いと言われています。
そのため、
・安全に簡単で理解しやすい内容である
・特殊な機器を必要とせずにどこでも手軽に実施できる
・運動を継続しやすい運動プログラムであること

が大切です。

安全・簡便に利用できる筋力トレーニングの一例として、足首などに装着する重り(重錘バンドなど)や
セラバンドを使用すると負荷も調整でき、良いと思います!
重錘とセラバンドを使用したトレーニング例として、下記に画像を載せています。
また、トレーニング風景も動画でご覧いただけます!
トレーニング風景の動画はコチラ!

今回ご紹介したセラバンドを使用したトレーニングについて、
参考となるリンクを載せています。
セラバンド エクササイズマニュアル

筋力トレーニング実施時の注意点

最後に筋力トレーニングを行う際の注意点についてお伝えします。
こちらは自主練習の際や日々のリハビリ後の状態を確認する際にぜひ役立ててください。

1, 高齢になると体力の個人差が大きくなるため、個人の体力レベルに応じた運動プログラムを設定しましょう。
  →他の人と比較してしまうこともあるかもしれませんが、個々人の身体の状態は異なるため自身のレベルに合った運動かを確認してみましょう。
  
2, 高齢者では環境の変化に適応しにくいため、運動に慣れるまでは運動量や強度は低く設定しましょう。
  →運動後の疲労感や身体の状態(脈拍数、血圧など)を把握しながら行うと良いです。

3, 運動前後のストレッチは時間をかけて行いましょう。

4, 運動の際はゆっくり運動を行うと良いです。
  →重りを持ち上げる、下すときはそれぞれ4~6秒かけて行います。また反動をつけないで行うことも大切です。

5, 血圧上昇防止のため、息をこらえないように、できるだけ声を出してカウントしながら行いましょう。

6, 疲労や痛みなどの症状については、運動時だけでなく、運動2~3日後までの様子も把握しましょう。

7, 運動後に関節の痛みや腫脹、熱感、3日以上続く強い筋肉痛が見られる場合は、運動の内容や強度を変更しましょう。
  →状態に著しい変化があればリハビリのスタッフまたは医師に相談しましょう。

8, 運動の継続が重要であるため、楽しく、無理のない範囲での運動を選択しましょう。

9, 空腹時や食後すぐの運動はできるだけ避けましょう。

10, 運動時の転倒には十分注意しましょう。
  →立位でのトレーニングは転倒防止のため、椅子の背もたれなどを持ちながら行いましょう。
   また、立位が不安定な場合は座位で実施できる内容としましょう。

上記の注意点は一般的な内容となっています。

おわりに

今回は、体力低下、筋力トレーニングについてお伝えさせて頂きました!
リハビリスタジオ群馬では、施術だけでなく自主練習指導も行っていますので、
個々のお身体の状態に合わせた内容、ご自宅で実施しやすい方法をアドバイスさせていただきます!
 
当施設では脳梗塞後遺症・脊髄損傷の方々が、さらなる機能改善を図るための様々なリハビリを提供しています!
質の高いリハビリとお身体の状態に合わせた自主練習指導を行い、一緒にQOLの向上を目指しませんか?

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また、無料体験も実施していますので、是非お問い合わせください!

引用文献
市橋則明(編):高齢者の機能障害に対する運動療法,文光堂,2011