COLUMNコラム

脳梗塞後遺症!!大脳小脳神経回路について

その他

はじめに

皆さんこんにちは、リハビリスタジオ群馬の吉田です。
今回は大脳小脳神経回路について説明していきたいと思います。以前、投稿させていただいた「脳梗塞リハビリ!!大脳基底核ループについて」のように、脳の中ではいろいろな場所が連携しあって動作などを行っています。今回も、大脳と小脳がどのように連携を取っているかを説明していきたいと思います。大脳と小脳は脳の中でも1番、2番に容量が大きいところになるため、とても大事になってきます。
大脳と小脳との連携経路を大脳小脳神経回路と言います。大脳小脳神経回路は運動ループと認知ループの2つで構成されており、おのおの違った役割があります。最後まで読んでいただき、理解を深めていただければと思います。

運動ループ

大脳皮質の補足運動野・運動前野・運動野から始まり、橋にある橋核を経由して反対の小脳半球に入力されます。その後、左右交差し視床外側を経由し補足運動野・運動前野・運動野へと到着します。橋核での交差があるため、運動失調は小脳の損傷側で生じます。運動ループの損傷では、主に小脳性運動失調によるフィードフォワードの障害が生じます。フィードフォアードとは、あらかじめ目的とする運動に必要な運動指令を脳内で計算しておき、フィードバック情報に頼ることなく運動を遂行する制御です。
左視床出血の場合ですと、視床外側の損傷を認めていれば損傷側と対側に小脳性運動失調を生じます。しかし多くの場合、運動麻痺も認めているため、小脳性運動失調を確認することが難しいです。小脳性運動失調によるフィードフォアードの障害では、下肢の振り出しのコントロールがうまくいかず、支持期への移行もスムーズにできません。そのため、立脚中期での骨盤の安定性低下につながり股関節がスラストしてしまいます。このような、異常動作が見られることで、麻痺での歩行障害というよりも失調による問題であると認識する必要があります。
回復期段階で、長下肢装具を使用して歩行や機能練習を実施していても、ここの障害に対してアプローチが出来ていない場合もあります。長下肢装具のロックにより、膝折れは抑制できても股関節の安定性低下は抑制できていません。そのような場合ではセラピストが振り出し時に踵接地が出来るようにアシストしつつ、リズミカルな荷重を促していかなくてはなりません。
小脳性運動失調を確認することは難しいですが、脳画像と現象を把握することで麻痺へのアプローチだけでなく、失調へのアプローチも可能になってきます。

認知ループ

大脳皮質の前頭連合野から始まり、橋にある橋核を経由して反対の小脳半球に入力されます。その後、左右交差し視床内側を経由し前頭連合野へと到着します。認知ループの障害では主に小脳性認知情動症候群(Cerebellar Coggnitive Affective Syndrome:CCAS)を認めます。
CCASとは
CCASは遂行機能障害、空間認知障害、言語障害、人格障害といった特徴があります。
遂行機能障害:抽象的推論の障害、流暢性の低下、立案の障害、セット返還障害
空間認知障害:視空間の統合・記憶障害。
言語障害:失文法、失名辞、プロソディーの障害。
人格障害:情動の平極化や鈍さ、不適切な行動など。
プロソディーとは、音節の途切れや引き伸ばし、音節の繰り返し、発話速度の低下などの構音障害の総称をいいます。

小脳障害では運動障害が知られていますが、このような言語機能や精神機能の障害も認めます。そのため、生活場面でも認知機能の低下や病識の低下、情緒不安定性といった症状が認めるため、注意が必要になります。

大脳小脳

まとめ

脳の中は、いろいろな場所が連携しあうネットワークとなっています。その、ネットワークの中に大脳と小脳をつなぐネットワークというものもあります。それを大脳小脳神経回路と言い、運動ループと認知ループとに分かれています。運動ループでは、小脳性運動失調によるフィードフォワードの障害が生じます。認知ループではCCASといった遂行機能障害、空間認知障害、言語障害、人格障害を認めることもあります。このように運動障害だけでなく、認知面の障害も認めるため生活場面での注意が必要になります。
リハビリスタジオ群馬では、利用者さんのお身体の状態と叶えたい動作や運動を照らし合わせて、リハビリのプログラムや自主練習を提供しています。また、生活場面で注意する点や家族に協力が必要な点など、家族指導も実施しています。ご興味ある方はぜひ、お問い合わせください。

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吉田 光希

この記事を書いた人

吉田 光希

施設管理者/理学療法士

平成31年に理学療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟を経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・呼吸器疾患の患者様のリハビリに携わる。その間に脳卒中患者に対するHALの効果をリハビリ報告として学会で発表。その後も脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和4年6月からリハビリスタジオ群馬に勤務。

■学会発表歴
令和02年
第28回日本慢性期医療学会 演題名:HALによる歩行訓練により、歩行能力が向上した症例
令和04年
第29回群馬県理学療法士学会 演題名:頚髄損傷患者へ対する歩行神経筋電気刺激療法装置ウォークエイド®を用いた自主練習の効果

■資格
理学療法士免許
登録理学療法士
日本理学療法士協会指定管理者(初級)
Formthotics Authorized Medical Advisor Course

■経験
急性期一般病棟  回復期リハビリテーション病棟