半側空間無視の実態とリハビリ
はじめに
皆さんこんにちは、リハビリスタジオ群馬の吉田です。今回は、半側空間無視について説明していきたいと思います。以前脳梗塞後遺症!!高次脳機能障害とは?にて少し触れさせていただきました。今回はより詳しく、リハビリ方法なども踏まえて紹介していければと思います。最後まで見ていただき理解を深めていただければと思います。
半側空間無視とは
半側空間無視とは、脳損傷側と反対側の空間に与えられた刺激に対して、感覚障害や運動障害では説明できないような反応の低下や欠如を示す現象を言います。簡単に言いますと、脳損傷側と反対側にある物を見落としてしまうことを言います。特に、右半球の損傷で左半側空間無視が起こることが多いです。
また、常に無視症状が認めるわけでもなく、ある場面では認め、ある場面では認めないなどのケースもあります。しかし、ある程度決まった症状を認めるため、知っておくと役に立ちます。
よくある症状
・食事中に左半分の物に手を付けずに残してしまうことがある。声掛けを行い、注意を左側へ向けることで再度、食べ始める。
・歩行時や車椅子駆動時に片側によくぶつける。
・片方だけ、顔をむいている。
・片方だけ、髭のそり残しがある。
・麻痺側の認識が悪くなる。
このように病巣側と反対側の空間への認識が下がるため、片方だけの認識になってしまいます。そのため、身体失認や病態失認といった高次脳機能障害も合併して来ることが多いです。
半側空間無視へのリハビリ
視覚探索トレーニング・・・無視空間へ手がかりを提示して行う。特に興味のあるものだと余計に注意が行きやすい。
プリズム眼鏡の使用・・・視野を右に偏倚させるプリズムメガネによって目標点が実際より右にずれて見える。
麻痺側を積極的に使う・・・麻痺の改善により、身体失認の改善も図る。
その他にもリハビリ方法はありますが、日常生活では常に無視側へ注意が行くような工夫も大事になってきます。
日常生活での工夫
まずは、日常生活のどの場面で無視を認めるのかを観察しましょう。それにより、無視を認める場面に対しては工夫が必要になります。
食事場面
食事の際に無視を認めてしまう場合は、ワンプレートでの提供などの工夫が必要になります。またメニュー表も一緒に提示することで、食べ残しに気付く工夫も効果があります。
移乗場面
まずは車椅子のブレーキ忘れが、よくあるケースです。レバーを長くしてあげることで予防が図れます。またフットレストを上げ忘れることもあります。フットレストに分かりやすい目印をつけてあげることで改善が図れます。
まとめ
半側空間無視は、左脳卒中患者で約8割の出現率とされており、起こりやすい症状の一つとなっています。入院中には、まず麻痺側の使用頻度を増やしたり、無視空間への認識を高めたりとリハビリが大事になってきます。退院後は、生活場面で無視を認めるところへの工夫というのも必要になってきます。(もちろん入院中の工夫も必要)
リハビリスタジオ群馬では、半側空間無視などの症状がある方には、麻痺の改善とともに、空間認識向上へのアプローチも行っています。また自宅での注意点や工夫点などのアドバイスも行っています。ご興味ある方は、無料体験も実施していますので、ぜひお問い合わせください。
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この記事を書いた人
施設管理者/理学療法士
平成31年に理学療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟を経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・呼吸器疾患の患者様のリハビリに携わる。その間に脳卒中患者に対するHALの効果をリハビリ報告として学会で発表。その後も脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和4年6月からリハビリスタジオ群馬に勤務。
■学会発表歴
令和02年
第28回日本慢性期医療学会 演題名:HALによる歩行訓練により、歩行能力が向上した症例
令和04年
第29回群馬県理学療法士学会 演題名:頚髄損傷患者へ対する歩行神経筋電気刺激療法装置ウォークエイド®を用いた自主練習の効果
■資格
理学療法士免許
登録理学療法士
日本理学療法士協会指定管理者(初級)
Formthotics Authorized Medical Advisor Course
■経験
急性期一般病棟 回復期リハビリテーション病棟