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脳梗塞リハビリ!機能改善に必要な栄養学

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皆さんこんにちは、リハビリスタジオ群馬の吉田です。今回は栄養についてお話しさせていただきます。私たちが生きるためには、食事が必ず必要になります。食事から栄養を摂取し、それを動くための労力としています。つまり、リハビリ実施時には栄養を使い体を動かしています。脳梗塞後遺症のリハビリでは筋力強化を図るトレーニングも実施します。筋力増強などの運動となれば、より負荷のかかる動作となるため、栄養はますます大事になっていきます。今回はなぜ栄養が必要か、どのぐらい摂取したら良いのか、など説明できればと思います。是非最後まで読んでいただき、ご理解を深めて頂ければと思います。

脳梗塞後遺症のリハビリへ、なぜ栄養が必要なのか?
人は動くために、生きるためにはエネルギーが必要となります。このエネルギーは「食べる」ことによって補われます。もしこの食事がしっかり摂れてなく栄養不足でいると、動く時のエネルギーを自分の中にためていた貯蔵庫から、分解して使うことになります。その貯蔵庫は筋肉(タンパク質)、脂肪細胞(脂質)、肝臓(糖質)にあります。つまり栄養がたりないと、これらの機能を分解してエネルギーに換えることになります。脳梗塞後遺症では麻痺の改善を図ると当時に、筋力強化も図る必要があります。筋力増強を図るトレーニングでは、レジスタンストレーニングでの運動が必要になります。レジスタンストレーニングとは、筋肉に負荷をかけるトレーニングとなり、機能維持に比べて負荷量を多くなります。そのため、よりエネルギー消費量は多くなります。脳梗塞後遺症後に筋力をつけたくて筋力強化トレーニングを行っていても、実は筋肉を分解してしまっていることも有り得るのです。それぐらい栄養というのは大事になってきます。内蔵蛋白の減少から、免疫機能低下や創傷治癒の遅延、臓器障害を引き起こす可能性もあります。
このことからも栄養がいかに大事かが分かります。特にリハビリに関しては筋力強化を行う上では絶対に考えなくてはいけない部分になってきます。

脳梗塞後遺症の方へ、栄養不足でなりやすい病気
・サルコペニア
脳梗塞後遺症やその他の疾患、また加齢に伴い全身の筋肉量が減り、身体能力の低下を引き起こします。歩くスピードが遅くなったり、立ち上がりなどの基本動作に影響が生じ、介護は必要な状況になる場合もあります。
・フレイル
虚弱を意味しており、健康な状態と要介護状態の中間に位置します。加齢と共に、筋力の低下や疲れやすさといった症状が現れてきます。しかし適切な介入を行うことで生活基準の維持・向上が図れる状態となっています。

脳梗塞後遺症の方へ、一日にどのぐらいのエネルギーが必要?
必要エネルギー量=基礎代謝量×活動係数×傷害係数で算出できます。?となると思います。1つずつ説明していきます。

基礎代謝量
生命活動を維持するために消費される必要最低限のエネルギー量のことを言います。一般成人で女性:約1200、男性:約1500kcalとなっています。
男性:66+(13.7×体重)+(5×身長)-(6.8×年齢)
女性:655+(9.6×体重)+(1.7×身長)-(4.7×年齢)で算出できます。

活動係数
身体活動量の数字を指します。
寝たきり(意識低下状態):1 ベッド上安静:1.2 ベッド外活動:1.3~1.4 労働:1.5~2
機能訓練のリハビリ:1.3~2 20分:1.3 1時間以上:1.3~1.7 2時間以上:1.5~2

傷害係数
疾患により、身体ストレスの程度によって代謝が亢進するため、変わってきます。
飢餓状態:0.6 手術:軽度1.1 中等度1.2 重度1.8 がん/COPD:1.2~1.3 発熱(1℃ごと):1.2~

その時の状態の値を上記の式にあてはめると、必要エネルギー量が算出できます。あくまで、これは必要エネルギーであるので最低でも摂取していかなければならない量になります。脳梗塞後のリハビリで機能改善を図りたい場合、約200~1000kcalをプラスして摂取します。逆に減量を図りたい場合ですと約200~1000kcalをマイナスして摂取します。しかし食が細く、なかなか量が食べられない方もいらっしゃると思います。そういった方の為に、栄養補助飲料や飲料があります。

脳梗塞後遺症の方へ、リハ栄養とは
近年、リハビリ業界ではリハ栄養についてが注目されています。それだけリハビリにおいて栄養が重要視されてきたということになります。
リハ栄養とは、栄養状態も含めてICF(国際生活機能分類)で評価を行ったうえで、障害者や高齢者の機能、活動、参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことを言います。また、医師・看護師・栄養士・リハビリ・薬剤師など多職種でのチームアプローチの重要性が提唱されています。脳梗塞により、入院となった場合でもこのようにリハビリをしっかり行う上で、栄養管理を行っています。退院後に脳梗塞後遺症の機能改善を図るとなると、自宅でも栄養管理が必要となってきます。

脳梗塞後遺症・脊髄損傷の方々が、さらなる機能改善を図るため、リハビリスタジオ群馬では様々なリハビリを提供しています。質の高いリハビリとしっかりした栄養補給を行い、生活の質の向上を図っていただければと思います。ホームページには改善事例や動画も公開していますので、リハビリ内容を見て頂ければと思います。無料体験も実施していますので是非、お問い合わせください。

改善事例
リハビリ動画

吉田 光希

この記事を書いた人

吉田 光希

施設管理者/理学療法士

平成31年に理学療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟を経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・呼吸器疾患の患者様のリハビリに携わる。その間に脳卒中患者に対するHALの効果をリハビリ報告として学会で発表。その後も脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和4年6月からリハビリスタジオ群馬に勤務。

■学会発表歴
令和02年
第28回日本慢性期医療学会 演題名:HALによる歩行訓練により、歩行能力が向上した症例
令和04年
第29回群馬県理学療法士学会 演題名:頚髄損傷患者へ対する歩行神経筋電気刺激療法装置ウォークエイド®を用いた自主練習の効果

■資格
理学療法士免許
登録理学療法士
日本理学療法士協会指定管理者(初級)
Formthotics Authorized Medical Advisor Course

■経験
急性期一般病棟  回復期リハビリテーション病棟