意外と多い肩の亜脱臼
はじめに
皆さん、こんにちは。リハビリスタジオ群馬の吉田です。
今回は亜脱臼について説明していきたいと思います。脳梗塞・出血後には約30%の方が、亜脱臼を認めます。さらに、亜脱臼の影響により、肩関節への痛みの訴えも認め、積極的なリハビリが行えないケースもあります。
そんな、意外と多い肩の亜脱臼について今回は説明していきます。最後まで読んでいただき、理解を深めていただければと思います。
亜脱臼とは
脱臼とは、肩の関節が外れてしまうことを言います。自分で、はめ直せる程度の脱臼を「亜脱臼」と言います。運動時に認めたり、転倒時にも脱臼を認めることはあります。今回は、脳梗塞・出血により生じる、亜脱臼について説明していきたいと思います。
脳梗塞・出血での亜脱臼
脳梗塞後遺症の麻痺や感覚障害の影響で生じてきます。麻痺の中でも弛緩性の麻痺と言って、筋肉の収縮が入りずらい麻痺があります。上腕骨と肩甲骨を安定させ、肩関節を固定するのに大事な筋肉が弛緩することで、肩の安定性は低下してしまいます。さらには、座った状態での重力の影響や大胸筋が過緊張になることで、上腕骨頭は前下方へ引っ張られやすくなり、亜脱臼を認めることが多くなります。
このように、亜脱臼した状態で運動を行ってしまうと、関節の適合性が悪く、摩擦などの影響で痛みを生じてしまうのです。亜脱臼を直して運動を行うことで、肩関節の痛みの軽減にも繋がります。
亜脱臼へのリハビリ
肩関節を安定させるには、棘上筋、僧帽筋、三角筋といった筋肉の働きが必要になります。これらの筋肉の筋力トレーニングをすることが重要とされています。また、物理療法を用いることも有効とされています。棘上筋と三角筋に対して、電気刺激療法を用いることで改善され、痛みの軽減も図れるとされています。
亜脱臼予防
急性期の早期から、スリングを使用するケースは多いです。もちろん脱臼予防としては良い方法ではありますが、長期的に使用する際は注意が必要となります。肩関節が内転・内旋位となった状態で、長期的に使用してしまうと拘縮が生じる恐れがあります。車いす上では、使用しないなどの工夫も必要になってきます。また肩関節の下方への脱臼も予防し、肩関節の外旋も促せて、肘関節を無理に屈曲させない、オモニューレクサの使用も多くなっています。
まとめ
脳梗塞後遺症では約30%で肩の亜脱臼を認めます。それに伴い、痛みを生じるケースは多くあります。脱臼予防のためには、アームスリングなどがあるが関節拘縮が生じる恐れもあり、脱臼そのものの治療としては有効ではありません。そのため、肩関節の安定性を高めるリハビリが重要になってきます。弛緩性のため、弱っている筋肉に対しての筋力トレーニングや物理療法を用いたアプローチもあり、肩関節の適合性を高めることで痛みの軽減にも繋がっていきます。
リハビリスタジオ群馬では、電気刺激療法なども用いて麻痺の改善なども行っています。ご興味ある方は、無料体験も実施していますので、ぜひお問い合わせください。
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この記事を書いた人
施設管理者/理学療法士
平成31年に理学療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟を経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・呼吸器疾患の患者様のリハビリに携わる。その間に脳卒中患者に対するHALの効果をリハビリ報告として学会で発表。その後も脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和4年6月からリハビリスタジオ群馬に勤務。
■学会発表歴
令和02年
第28回日本慢性期医療学会 演題名:HALによる歩行訓練により、歩行能力が向上した症例
令和04年
第29回群馬県理学療法士学会 演題名:頚髄損傷患者へ対する歩行神経筋電気刺激療法装置ウォークエイド®を用いた自主練習の効果
■資格
理学療法士免許
登録理学療法士
日本理学療法士協会指定管理者(初級)
Formthotics Authorized Medical Advisor Course
■経験
急性期一般病棟 回復期リハビリテーション病棟