COLUMNコラム

なぜ立ち上がれない?立ち上がりに大事な3つの相

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リハビリスタジオ群馬の吉田です。本日は立ち上がりに大事な3つの相について紹介していきます。立ち上がりと言いますと、1つの動作ととらえる方は多くいらっしゃると思います。確かに動作としては1つです。しかし立ち上がりを1つでとらえてしまうと、どこが悪くて立ち上がりができないのかがわからなくなってしまいます。脳卒中・脊髄損傷後遺症の影響で立ち上がり動作が自分でできない方もいらっしゃると思います。そこで今回立ち上がりを3つの相に分けてご説明させていただきます。ぜひ最後までお読みいただき、立ち上がりに対しての理解を深めていただければと思います。

第1相(画像2)
ここでは主に座った状態から体を前に倒す動きになります。つまり座った状態から離臀までの時間を言います。ここで重要になるのが骨盤前傾という動きになります。この動きは股関節を曲げる筋肉と背中を伸ばす筋肉との働きによって生じます。この骨盤前傾が起きないまま体を前に倒してしまうと丸まった姿勢になります。体を倒す際に少し胸を張るイメージで行うと骨盤の前傾が起こりやすくなります。脳卒中後遺症の方では骨盤周囲の筋肉が低緊張となり丸まった姿勢になりやすくなります。この第1相がうまくいかないと次の第2相でスムーズに移行できず、立ち上がりが失敗する要因になることもあります。

第3相(画像4)
ここでは主に離臀から体を伸ばす動きになります。ここで重要になるのが抗重力筋と言われている、腸腰筋・大殿筋・大腿四頭筋・下腿三頭筋の働きになります。しかし、この第3相では支持基底面と言ってバランスが取れる範囲が狭くなります。そのため、先ほど紹介した筋肉の力だけでなく協調性というのも大事になっていきます。協調性とは筋肉の出量の調整や拮抗筋である筋肉とのバランスをとる働きです。脳卒中患者さんでは一方向性に動かすことは可能だが、筋出力の調整や違う筋とバランスをとるのが苦手という場面が多いです。そのため、支持基底面が狭い第3相での転倒につながります。また先に述べた痙縮の影響で足底が地面にしっかりつかずバランスを崩す場面も多く認めます。

当施設の立ち上がり改善事例
動画をご覧ください!!!

立ち上がり動作は日常の中で実施する場面は多くあります。ベッドからの起き上がりやトイレ動作、その他座った状態から動く際には必ず実施する動作です。脳卒中により立ち上がり動作が実施困難になった。立てるけど何かつかまらないと立てないなどお困りの方はまずはご連絡ください。

吉田 光希

この記事を書いた人

吉田 光希

施設管理者/理学療法士

平成31年に理学療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟を経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・呼吸器疾患の患者様のリハビリに携わる。その間に脳卒中患者に対するHALの効果をリハビリ報告として学会で発表。その後も脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和4年6月からリハビリスタジオ群馬に勤務。

■学会発表歴
令和02年
第28回日本慢性期医療学会 演題名:HALによる歩行訓練により、歩行能力が向上した症例
令和04年
第29回群馬県理学療法士学会 演題名:頚髄損傷患者へ対する歩行神経筋電気刺激療法装置ウォークエイド®を用いた自主練習の効果

■資格
理学療法士免許
登録理学療法士
日本理学療法士協会指定管理者(初級)
Formthotics Authorized Medical Advisor Course

■経験
急性期一般病棟  回復期リハビリテーション病棟