脳梗塞リハビリ!!大脳基底核ループについて
はじめに
皆さんこんにちは、リハビリスタジオ群馬の吉田です。
今回は大脳基底核ループについて説明していきたいと思います。早速、何の話し?となる方が多いとは思いますが、出来るだけ簡単にわかりやすく説明していきたいと思います。
脳梗塞後遺症には手足が動きずらくなる、麻痺という症状が存在します。この麻痺は主に、錐体路という神経回路が損傷されると現れてきます。そのため、すべての脳梗塞で麻痺が出現するとは限りません。損傷部位によっては、麻痺は起きてないのに、なんだか動きずらい、勝手に手足が動いてしまう。といった症状も生じることがあります。
脳の中には大脳基底核と言って、随意運動を調節する機能を持つ場所があります。本日は、この大脳基底核と大脳皮質がどのような連携を取って、運動につなげているのかを説明していきたいと思います。
大脳の構造
脳は大脳・脳幹・小脳とわかれており、大脳は更に、大脳皮質・海馬・扁桃体・大脳基底核と4つの構成要素からできています。すべてお話しすると、とてつもない量になってしまうため、大脳皮質と大脳基底核について説明したいと思います。
大脳皮質とは
大脳皮質とは脳の表層のところを言い、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉と分かれています。比較的聞いたことがある名前だと思います。
前頭葉:主に随意運動に関与しています。手足を動かそうとするときに働く場所となっています。損傷されることで、運動麻痺を起こしてしまいます。
側頭葉:主に聴覚認知や言語的な記憶に関与しています。損傷されることで、記憶や言語の認識の障害を認めます。
頭頂葉:主に感覚に関与しています。損傷されることで、感覚障害を起こしてしまいます。
後頭葉:主に視覚認知に関与しています。損傷されることで、物体認知の障害や視野欠損を起こしてしまいます。
このように、各場所にそれぞれの役割が存在します。
大脳基底核とは
大脳半球の深部に存在し、線条体(尾状核と被殻)、淡蒼球、視床下核、黒質核から構成されており、随意運動の調整や滑らかな運動に関与しています。また大脳基底核は大脳皮質と視床の連絡経路の通過点としての役割もあります。大脳皮質からの信号が大脳基底核に入力され、その後視床に出力し大脳皮質へと連絡するループ回路となっています。このループ回路は並行して4つ存在するため、説明していきたいと思います。
4つのループ回路
運動ループ
主に運動に関与しており、四肢および体幹の骨格筋運動の制御にかかわります。主に大脳基底核の被殻上部と連絡を取っており、損傷されることで体が動きずらい無動や、勝手に動いてしまう不随運動などが生じることがあります。
眼球運動ループ
衝動性眼球運動(サッケード)を抑制するループとなっています。主に大脳基底核の尾状核が関与しています。損傷により、眼球運動の速度と方向などの視覚情報を処理する働きが阻害されることがあります。
認知ループ
認知と行動の戦略的計画や組み立てに関与しています。損傷により、遂行機能障害や記憶障害が生じることがあります。
辺縁系ループ
行動の同期付けや情動に関与しています。損傷により、情動の障害や意欲低下といった症状が生じることがあります。
このように一つの運動を行う背景には、4つのループが存在し運動を遂行しています。少し難しいと思いますので、1つ例を挙げます。
「お茶碗のごはんを箸で食べる」この1つの動作で考えてみましょう。まず、ごはんを食べたいという情動や意欲といったところで辺縁系ループを介して決定します。そのあとに認知ループを介して、運動プログラムを組み立てます。次に、運動ループや眼球運動ループを介して、上肢と運動を連携させて滑らかな動きでお茶碗まで箸を動かします。
といったように4つのループを介して、正確な運動が行われるようになっていま。
まとめ
1つの運動を行う背景には、運動のコントロールや意思決定、プログラムの組み立てなどの処理も同時に行われています。このような処理には大脳基底核という部分が必要となり、この大脳基底核は大脳皮質と視床との連絡経路にもなり、スムーズな運動へと変えてくれています。
一概に、脳梗塞だがら運動麻痺が起きるというのではなく、運動の調節などの障害により歩行困難や日常生活での介助をようすることもあります。今回紹介した、大脳基底核での障害以外にも姿勢制御の障害や運動失調といった症状により、運動の阻害因子になっていることももちろんあります。
リハビリスタジオ群馬では、利用者さんのお身体の状態と叶えたい動作や運動を照らし合わせて、リハビリのプログラムや自主練習を提供しています。ご興味ある方はぜひ、お問い合わせください。
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この記事を書いた人
施設管理者/理学療法士
平成31年に理学療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟を経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・呼吸器疾患の患者様のリハビリに携わる。その間に脳卒中患者に対するHALの効果をリハビリ報告として学会で発表。その後も脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和4年6月からリハビリスタジオ群馬に勤務。
■学会発表歴
令和02年
第28回日本慢性期医療学会 演題名:HALによる歩行訓練により、歩行能力が向上した症例
令和04年
第29回群馬県理学療法士学会 演題名:頚髄損傷患者へ対する歩行神経筋電気刺激療法装置ウォークエイド®を用いた自主練習の効果
■資格
理学療法士免許
登録理学療法士
日本理学療法士協会指定管理者(初級)
Formthotics Authorized Medical Advisor Course
■経験
急性期一般病棟 回復期リハビリテーション病棟