音楽の力でことばを支えるMIT-J ~学会発表のご報告~

参加した学会について
• 開催日:令和7年9月5日(金)~7日(日)
• 会場:つくば国際会議場
• 学会名:第25回日本音楽療法学会学術大会
• 発表内容:音楽の要素を用いた言語リハビリの取り組み
今回の発表テーマ
発表タイトルは 「慢性期運動性失語症患者への長期分散型日本語版メロディックイントネーションセラピー(MIT-J)の臨床効果 -第2報-」 です。
MIT-Jは、音楽の要素であるリズムとメロディーを用いてことばを引き出すリハビリ方法で、失語症の方に用いられています。
これまでMIT-Jは短期集中訓練での効果が認められていましたが、長期に渡って訓練を実施することでの効果が得られるかどうかの検討はされていませんでした。
私たちは第22回日本音楽療法学会学術大会において、週1回・合計20回の長期分散型MIT-Jを実施した効果を発表しました。
今回は同じ方に対してさらに継続してMIT-Jを実施し、言語機能のさらなる改善が認められたため、第2報として報告しました。
発表でお伝えしたこと
対象となったのは、発症から14年が経過している慢性期の運動性失語症の方です。
週1回・合計40回、MIT-Jを実施した結果、以下のような変化が見られました。
• 発話情報量の増加
単語で話すことが多かった状態から、文で表現できるようになりました。
また、練習した言葉だけでなく、日常生活の中で場面に応じた訴え(例:「詰め物が取れた時に『歯医者に行く』と伝える」)が自然に出てくるようになりました。
• 復唱反応時間の短縮
相手の言葉を真似して繰り返す際の反応時間が短くなり、やり取りがスムーズになりました。
さらにアンケートでは、「言葉の出やすさ」についてご本人が5段階中で最も良い評価「改善した」 を選択され、リハビリの手応えを強く感じておられることがわかりました。
これらの結果により、MIT-Jは短期集中訓練だけでなく、週1回・合計40回、10カ月間にわたっての長期分散型MIT-Jにおいても効果が得られることが示されました。
学会で得た学び
学会では、児童領域から高齢者領域まで幅広い音楽療法の発表が中心でしたが、医療分野で音楽をリハビリに取り入れた発表も聞くことができました。
私の報告にも多くの関心を寄せていただき、MIT-Jについてたくさんの質問やご意見をいただきました。
今回の学会は、私自身にとっても大きな学びの場となりました。
これからに向けて
リハビリスタジオ群馬では、音楽療法をはじめとした多様なリハビリ方法を取り入れながら、一人ひとりの目標に合わせたサポートを大切にしています。
今回の経験と学びを活かし、ことばで気持ちや思いを伝える力を支える取り組みを、これからも続けていきたいと思います。
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この記事を書いた人
言語聴覚士、音楽療法学会認定音楽療法士。音楽療法士として脳血管障害専門病院で言語訓練、歩行訓練、注意訓練等に携わった経験から、言語障害に対するリハビリテーションに興味を持つ。言語聴覚士国家資格取得後は、三重大学医学部附属病院の基幹型認知症疾患医療センターに勤務。認知症鑑別診断のための評価やご家族支援等の業務の傍ら、失語症の治療技法であるメロディック・イントネーション・セラピー(MIT)の研究に取り組む。平成27年より群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、訪問リハビリなどを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・神経難病の患者様のリハビリに携わる。令和7年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。LSVT LOUD認定セラピスト。MITチーフトレーナー。