重度麻痺の手を改善!!BMIをトライアル導入

はじめに
脳卒中や脊髄損傷の後遺症によって、手足がうまく動かなくなる「運動麻痺」。
これに対し、これまで様々なリハビリテーション方法が用いられてきましたが、近年注目を集めているのがBMI(Brain-Machine Interface:ブレイン・マシン・インターフェース)です。
BMIは、麻痺した手の動きを改善するための最新技術です。本コラムでは、BMIの仕組みや効果、従来のリハビリとの違いについて、分かりやすくご紹介いたします。
BMIとは? ~脳の信号をキャッチして”動かす”最新技術~
BMIの機能を簡単に説明しますと、手を動かしたいと脳が活動したときに、その信号を頭部のセンサーが検知し、麻痺した手に装着した電動装具が実際に動くという技術です。
頭につける器具
麻痺した手に着ける装具
通常、人間の運動は次のような流れで行われます。
脳が「手を動かそう」と指令を出す
神経を通じて筋肉に信号が伝わる
実際に筋肉が動く

しかし、脳卒中などによって脳や神経が損傷を受けると、この「信号の通り道」が遮断され、筋肉は命令を受け取れなくなります。
その中でリハビリで麻痺側の手を動かしていると脳の中で可塑性という反応が生じます。これは損傷した部分とは別の部位が損傷した神経の機能を代償するという反応です。BMIはこの可塑性の反応を促すことができる技術として期待されています。
従来のリハビリとの違い
一般的なリハビリでは、セラピストが徒手的に麻痺した手足を動かしたり、患者自身が反対側の手で動かしたりします。これは「実際に動かすこと」を重視した方法です。
一方で、重度の運動麻痺の場合、「動かしたいと思っても全く動かせない」ため、脳の運動領域が活性化されにくいという課題があります。実際に関節運動が起きないため、患者自身も「動いているイメージ」が正しいかどうかを確認できません。
BMIはここが違います。 頭で「手を動かそう」と考えると、その脳活動をセンサーが感知し、正しく脳活動が捉えられた場合、電動装具が動きます。逆に動かない場合は「今のイメージは違う」とフィードバックを受けられるため、修正しながら学習できます。この繰り返しが脳内の神経ネットワークの再編成(神経可塑性)を促し、実際の運動機能の改善につながるのです。
つまり、BMIは「脳が動かしたい」と思った瞬間に介入できる技術であり、特に重度の運動麻痺や回復が停滞している方に新たな可能性を提供します。
BMIのリハビリ効果 ~科学的根拠と実際の変化~
BMIの技術による運動機能の回復は国内外の研究で発表されています。
脳卒中治療ガイドライン2021[改定2023]にも収録されています。
運動麻痺の改善
2021年に発表された国際的な論文ではBMIを使用したリハビリを受けた脳卒中患者が、上肢の運動機能評価で有意な回復効果を示したと報告されています。(出典:Frotiers in Neuroscience,2021)
脳機能の再編成、可塑性の促進
国内の研究では、BMIを使用したリハビリにより脳の感覚運動領域(手を動かす部分)の活動が活発になり、脳の繋がりが再編成される=神経可塑性が促進されることも示されています。(出典:日本臨床神経生理学誌,2022)
BMIの対象となる方(どのような方に使えるのか?)
脳の病気によって手に運動麻痺のある方:脳へのダメージで手足の動きが難しい方
中等度~重度の手の麻痺がある方:従来のリハビリで十分な改善が見られない方
慢性的な手の麻痺にお悩みの方:発症から時間が経過している方
新しいリハビリ手法を試してみたい方:従来のリハビリとは異なるアプローチで改善を目指したい方
最後に
今までのリハビリで限界を感じている方、重度麻痺で選択肢が少ない方にこそ、一度この新しいリハビリの可能性に触れてみてほしいと願っています。
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この記事を書いた人
令和2年に理学療法士国家資格を習得。同年から令和6年12月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、老健通所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞、脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、神経疾患に対するリハビリを中心に学ぶ。令和7年1月からリハビリスタジオ群馬に勤務。