COLUMNコラム

被殻出血とは? リハビリで重要なことは??

その他

はじめに

こんにちは、リハビリスタジオ群馬の大山です。今回は被殻出血について話していきたいと思います。
脳内で起こる病気にはさまざまなものがありますが、その中でも「被殻出血(ひかくしゅっけつ)」をご存じでしょうか?あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、被殻出血は脳出血の中で、一番頻度が高い場所と言われています。
このコラムでは、脳卒中の中でも被殻出血に焦点を絞りリハビリについて話していきます。これを読むことで、患者さんご本人はもちろん、その家族や医療関係者の方々にも有益な情報を提供できればと考えています。また、健康な方にとっても、将来の予防や早期発見の参考になる内容を説明できればと思います。

被殻とは?

被殻(ひかく)は、大脳基底核と呼ばれる脳の深部に位置する構造の一部です。大脳基底核は、運動の調整や学習、認知機能、感情制御に関わる重要な役割を果たします。その中でも被殻は、運動機能を滑らかにし、無意識の動作や習慣的な運動をサポートする役割を担っています。
被殻は、尾状核(びじょうかく)や淡蒼球(たんそうきゅう)、視床(ししょう)などの脳領域と密接に連携しており、特に運動機能の調整において重要な働きをします。例えば、歩行や姿勢の維持、手足の細かい動作の調整などは、被殻と大脳皮質、脊髄のネットワークによってスムーズに制御されています。
また、被殻はドーパミンという神経伝達物質と深く関係しています。ドーパミンは、運動の円滑な制御や報酬系の機能に関わり、意欲や学習能力にも影響を与えます。被殻の機能が低下すると、パーキンソン病などの運動障害が発生することが知られています。
さらに、被殻は筋緊張の調節にも関与しており、出血によってこの調節機能が障害されると、筋緊張調節障害が生じることがあります。これは、筋肉が異常に硬くなったり、逆に緩みすぎたりする状態で、運動機能に大きな影響を与えます。

リハビリのポイント

注意点として、被殻出血の方でも被殻だけでなく、他の部位も障害されている場合があります。さらに同じ被殻出血の方でも症状は人によって異なる場合があるため理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのセラピストと一緒にリハビリを行っていくことが重要です。

ここでは、被殻の働きと密接に関係するリハビリのポイントを詳しく説明します。

1. 運動調整機能の回復

被殻は運動を滑らかにする役割を担っているため、リハビリでは協調運動を意識したトレーニングが重要になります。
協調運動トレーニング:両手の運動や交互運動などを練習して協調動作を学習します。
反復運動: 同じ動作を繰り返し行い、神経回路の再構築を促進します。

2. 筋緊張調節障害への対応

被殻出血後に筋緊張の調節が難しくなることがあります。そのため、以下のようなリハビリを行い、筋肉の適切な緊張状態を取り戻すことが重要です。
ストレッチと筋弛緩訓練: 筋肉が過度に緊張している場合は、適度なストレッチを行い、筋肉の柔軟性を取り戻します。
ボツリヌス療法との併用: 必要に応じて、筋肉の過緊張を和らげる治療とリハビリを併用することもあります。

3. 姿勢とバランスの改善

被殻は、姿勢の維持にも関わっているため、バランス能力の向上が必要です。
体幹トレーニング: 椅子に座ったまま上半身をひねる運動や、ボールを使ったエクササイズを行います。
立位・歩行トレーニング: 平衡感覚を鍛えるために、ゆっくりと歩く練習や片足立ちを取り入れます。
重心移動訓練: 立った状態で体重を左右に移動させることで、歩行時の安定感を向上させます。

4. HALを使用したリハビリ

リハビリスタジオ群馬では、「HAL(Hybrid Assistive Limb)」を用いたリハビリを実施しています。
HALは、患者さんの脳が体を動かそうとする意識を検知し、動作を補助するロボットスーツです。この技術は、脳と筋肉の連携を再構築し、身体機能を回復させる効果があります。
HALを用いたリハビリによって、日常生活での動作が少しずつ改善されていくことが期待されます。リハビリは時間がかかるものですが、続けることで確実に成果が現れるのです。

おわりに

被殻出血は突然の出来事で、心身ともに大きな負担を与える病気です。しかし、十分な量と質のあるリハビリを実施することで現在の身体状況よりも回復する可能性は十分にあります。一歩ずつ前に進むことで、未来の自分の生活は変わります。
また、家族や医療スタッフ、リハビリの専門家と協力して取り組むことも重要です。一人で抱え込まず、周囲の支援を積極的に受け入れることが、心身の回復を早める助けとなります。
日々の健康管理やリハビリを通じて、より良い生活を目指していきましょう。「今日できること」を積み重ねることが、回復への近道です。時間をかけて少しずつでも前に進む努力が、未来の自分を作っていきます。

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大山 直人

この記事を書いた人

大山 直人

令和2年に理学療法士国家資格を習得。同年から令和6年12月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、老健通所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞、脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、神経疾患に対するリハビリを中心に学ぶ。令和7年1月からリハビリスタジオ群馬に勤務。