COLUMNコラム

筋力トレーニングは脳卒中の“回復の底力”になる

その他

筋力トレーニングは脳卒中後の機能に関係するのか

脳卒中後のリハビリでは、筋力トレーニング(筋トレ)は本当に必要?」「私に効果はあるの?」「というご質問をよくいただきます。

結論からお伝えすると、
筋力トレーニングは脳卒中の回復にとても大きな効果がある
ことが、国内外の研究で繰り返し示されています。

本記事では、筋力トレーニングがなぜ脳卒中の回復につながるのか、どんな効果が期待できるのかを、わかりやすく解説します。

なぜ脳卒中後に“筋力低下”が起こるのか?

脳卒中では脳のダメージにより麻痺が起き、腕や脚が動かしにくくなります。
しかし実は、麻痺以外にも 筋力が落ちる理由 はいくつもあります。

①「動かせていない時間」が筋肉を衰えさせる

わずか2週間、足をしっかり動かさないだけで若い人でも筋力は大きく低下すると言われています。

脳卒中直後の安静期間や入院生活では、どうしても活動量が減りやすく、この“使わない時間”が筋肉を細くしてしまいます。

② 動かそうとする努力量が下がる

麻痺があると「動かしにくい」「重い」と感じ、自然と動かす量が減ってしまいます。
この「使わない → 筋力が落ちる → もっと動かせない」という悪循環が起きやすくなります。

③ 年齢による筋量減少

40〜60代は筋肉の減りやすい年代です。脳卒中が加わると、筋力低下がより強く進みます。

筋力トレーニングの効果は“脳”にも届く

驚くかもしれませんが、筋トレは筋肉だけでなく、脳の働きにも良い影響を与えることが分かっています。

① 脳が動きの信号を「再学習」しやすくなる

麻痺した側を使う筋トレを行うことで、脳が再びその筋肉へ信号を送りやすくなります。
運動するとき、脳から筋肉に「動け!」という指令が送られます。筋トレを繰り返すと、脳と筋肉のネットワークが強化され、“学習しやすい状態”がつくられると言われています。

② 脳卒中後の歩行速度が向上する

筋トレを取り入れたリハビリは、歩くスピードや歩行距離を改善することが多くの臨床研究で確認されています。

歩くためには脚の筋力が欠かせません。特に太もも・お尻・ふくらはぎが弱ると、つまずきやすい歩幅が小さくなる片脚立ちが不安定になるといった問題が起こり、歩行スピードが低下します。
筋トレはこれらを改善する重要な要素です。

③ 脳卒中の再発予防にも役立つ

1日30分の運動で脳卒中のリスクが低下すると言われています。
筋トレは心肺機能の改善、血流改善、体重管理にも効果があり、再発予防にもつながります。

筋トレ=重いバーベル? → いいえ、それだけではありません

筋トレと聞くと、「ジムで重い重りを持ち上げる」というイメージがあるかもしれません。しかし脳卒中後の筋トレは、もっと安全で効果的な方法があります。

● 低負荷・高回数

麻痺側の筋肉が「努力した」と脳が感じる負荷を使いながら、痛みや疲労を避けて行う方法です。

● 関節の安定をつくる運動

重さよりも「正しい動き方」をつくることが優先です。そのため関節の位置を整えながら行います。

● 可動域訓練+筋トレの組み合わせ

硬くなった筋肉のまま無理に筋トレすると、効果が出にくいどころか痛みにもつながります。リハビリでは、筋トレ前の準備運動も大切にします。

■ 筋トレを始めることで得られる“5つの変化”

脳卒中のリハビリ現場では、筋トレを継続した方に以下のような変化がよく見られます。

① 歩くスピード・距離が伸びる

体幹と脚の筋力が戻ることで、歩行の安定性が格段に上がります。

② 立ち上がりが軽くなる

太ももの前側(大腿四頭筋)が強くなると、「よいしょ」と頑張らなくても立てるようになります。

③ 疲れにくくなる

筋力は“体力の土台”。少しの外出や買い物で疲れていた方も、徐々に余裕が出てきます。

④ 姿勢が良くなる

体幹が安定することで、猫背や左右の傾きも改善しやすくなります。

⑤ 転倒予防につながる

特にふくらはぎの筋トレは転倒予防に直結します。

リハビリスタジオ群馬で行う“脳卒中専門の筋トレ”

当スタジオでは、脳卒中の回復段階(回復期〜慢性期)に応じて、

麻痺側の筋力を引き出すトレーニング

歩行につながる下肢筋力トレーニング

体幹の安定性を高めるコアトレ

ロボットスーツHALなど、最先端機器を活用した筋力強化

などを組み合わせ、効果が最大限出るようプログラムを作成します。

また、筋トレが苦手な方でも続けられるよう、
「安全で、痛みなく、効果が出る」 を最優先にしています。

まとめ ― 筋トレは“脳卒中のリハビリの強い味方”

筋力トレーニングは単なる筋肉づくりではなく、

歩行改善

日常生活の質向上

再発予防

心身の安定

脳の再学習の促進

など 脳卒中の回復を後押しする重要なアプローチ です。

「筋トレなんて久しぶりで不安…」という方でも、
正しい方法で行えば、年齢や回復段階に関係なく十分に効果を得られます。

脳卒中の後でも、筋肉は必ず応えてくれます。
一歩ずつ積み重ねることで、動ける幅は必ず広がっていきます。

リハビリスタジオ群馬では、個別の状態に合わせて安全に筋力を高めるプログラムをご提案しています。
気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

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大山 直人

この記事を書いた人

大山 直人

令和2年に理学療法士国家資格を習得。同年から令和6年12月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、老健通所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞、脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、神経疾患に対するリハビリを中心に学ぶ。令和7年1月からリハビリスタジオ群馬に勤務。