睡眠と神経疾患の関係性~リハビリの視点から~

はじめに
私たちの生活に欠かせない「睡眠」は、心身の健康を維持するために非常に重要な役割を果たしています。近年、睡眠不足や睡眠の質の低下が、さまざまな神経疾患のリスクを高めることが明らかになってきました。さらに、神経疾患に対するリハビリテーションの観点からも、睡眠の質が回復のスピードやリハビリ効果に大きな影響を与えることが分かってきています。この記事では、睡眠と神経疾患の関係について、最新の研究やリハビリの視点を交えながら、わかりやすく解説します。
睡眠と神経疾患の関係
脳卒中との関連
脳卒中(脳血管疾患)と睡眠は密接に関係しています。睡眠時間が極端に短い(6時間未満)または長い(8時間以上)場合、脳卒中の発症リスクが高まることが報告されています。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は脳卒中の主要な危険因子とされており、呼吸の一時停止が血圧の急上昇や動脈硬化を促進し、脳卒中の発症リスクを高めます。さらに、脳卒中後の患者は睡眠の質の低下を経験することが多く、適切な睡眠管理やリハビリが回復を促す鍵となります。
認知症との関連
睡眠不足や質の低い睡眠は、認知症のリスクを高める可能性があります。特に、中年期以降に睡眠不足が続くと、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβという物質が脳に蓄積しやすくなることが研究で明らかになっています。また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害も認知機能の低下と深く関わっています。
うつ病・不安障害との関連
うつ病や不安障害の発症には、睡眠不足が深く関与しています。睡眠が不十分だと、セロトニンやドーパミンといった脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、気分の落ち込みや不安感が強まります。リハビリにおいても、メンタルの安定はリハビリ効果を高める重要な要素であり、睡眠を改善することで、より積極的なリハビリ参加を促すことができます。
自律神経の乱れ
睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、交感神経が過剰に働くことで血圧の上昇や心拍数の増加を引き起こします。これにより、慢性的な疲労や不眠症が悪化し、生活の質が大きく低下する可能性があります。自律神経を整えるために、リハビリの一環として深呼吸やヨガ、軽いストレッチなどのリラクゼーション法が取り入れられています。
良質な睡眠を確保するための具体的なトレーニング
リラクゼーションストレッチ
目的: 筋肉の緊張をほぐし、自律神経を整える。
方法:
仰向けになり、深呼吸をしながら首をゆっくり左右に回す(10回ずつ)。
両膝を立てた状態で、腰を左右にひねる(5回ずつ)。
肩をゆっくり上下に動かし、力を抜く(10回)。
呼吸法トレーニング
目的: 副交感神経を活性化し、リラックス効果を高める。
方法:
鼻から4秒かけて息を吸い、お腹を膨らませる。
8秒かけて口からゆっくり息を吐く。
これを10回繰り返す。
睡眠前の軽い運動
目的: 軽い運動で血流を促し、体温を上げて睡眠を促す。
方法:夕方から夜にかけて20分程度のウォーキングを行う。
その後、太ももやふくらはぎのストレッチを行い、筋肉の緊張を和らげる。
感覚刺激トレーニング
目的:身体の感覚を意識し、脳のリラックスを促す。
方法:温かいお湯に手や足をつける。
優しく手足をマッサージし、血行を促進する。
まとめ
睡眠は、私たちの脳と体の健康を維持するために欠かせないものです。睡眠不足や質の低下は、神経疾患をはじめとするさまざまな健康リスクを高める可能性があります。特に、リハビリの視点から見ると、睡眠の質を向上させることで、回復のスピードが上がり、より効果的なリハビリが可能になります。日々の生活の中で、具体的なトレーニングを取り入れ、良質な睡眠を確保することが重要です。
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この記事を書いた人
令和2年に理学療法士国家資格を習得。同年から令和6年12月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、老健通所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞、脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、神経疾患に対するリハビリを中心に学ぶ。令和7年1月からリハビリスタジオ群馬に勤務。