歩行に関わる神経システムについて
はじめに
こんにちは、リハビリスタジオ群馬の竹田です。今回のコラムでは、大脳皮質や大脳基底核、歩行誘発野がどのように歩行や歩行中の姿勢制御を行っているか、歩行に関わる神経システムについて解説していきます。最後までご覧いただけると、嬉しいです。
歩行に関わる神経システムの概要
歩行の制御には運動の上位中枢である大脳皮質、筋緊張の調整を担う大脳基底核と共に、歩行の自動化を担う歩行誘発野が関与しています。この歩行誘発野は、中脳、視床下部、小脳に存在しています。
自発的な歩行開始時と終了時には補足運動野が、それに伴う姿勢保持には運動前野が、出力の調整には被殻がそれぞれ関与しています。さらに辺縁系から投射を受け、逃避的な情動側面によって歩行を誘発する視床下核歩行誘発野、歩行のリズムを調整する中脳歩行誘発野、歩行のフィードフォワード制御を行う小脳歩行誘発野が歩行の制御を行っていると考えられています。また歩行運動の発現に必要な上位機構は、下位に位置する脊髄の興奮性や反射を制御しています。こうした歩行の自律的な制御システムをセントラルパターンジェネレーター(CPG)と呼ばれています。CPGは歩行速度の変化によって生じる足底感覚や筋の固有感覚、リズムの変化から歩行パターンを自動的に調整しています。
歩行に関わる神経システムについて
歩行には3つの神経システムがあります。➀随意的な歩行に関わる高次運動野から網様体投射系システム、②歩行運動を生成する歩行誘発野から網様体脊髄路システム、➂歩行パターンの自動調整を行うCPGです。
随意歩行発現システム
障害物を避けたり、狭い通路を歩いたりするなど、意図的かつ正確な調整を必要とする歩行では、視覚野から投射を受けた皮質運動野の活動が脳幹を介して、意図的な歩行の制御に関わっています。自発的な歩行の開始時と終了時には補足運動野が活動し、それに伴う姿勢保持課題では運動前野が活動します。この大脳皮質からの信号は、大脳基底核を介して歩行誘発野に投射されます。
歩行生成システム
視床下核歩行誘発野(SLR):危機回避に関わる逃避や生命維持に関わる捕食などで情動的側面に伴う歩行を誘発する際には、辺縁系やSLRから脳幹に投射して、反射特定の歩行パターンや、筋緊張亢進を誘発します。
中脳歩行誘発野(MLR):定常速度の歩行リズムの維持・調整やそれに伴う姿勢制御には、より自動的な歩行制御システムが関与しています。MLRには脚橋被蓋核(PPN)と楔状核(CNF)が含まれます。PPNは網様体脊髄路に作用して姿勢筋緊張を低下させ、歩行開始の遅延と歩行速度の低下を誘発します。一方、CNFは歩行リズムを生成して歩行を開始させます。
小脳歩行誘発野(CLR):小脳損傷では歩行失調が観察されますが、歩行中のCPGの情報の遠心性コピーは、腹側脊髄小脳路を介して小脳の室頂核(FN)に送られます。小脳では、脊髄内ニューロン活動を調整して歩行のフィードフォワード制御を行うとともに、前庭神経核に出力して歩行接地相のリズミカルな伸筋群の活動に関与しています。
歩行パターンシステム
CPGとは末梢からの感覚入力によって自動的に歩行運動を発現させる脊髄神経回路です。末梢からの感覚入力では、筋紡錘からの感覚情報が重要となります。歩行中、絶えず変化する筋の長さと張力を感知し、脊髄や上位中枢に伝達しています。歩行の立脚初期における足部への荷重は屈筋の活動性を抑制し、伸筋の活動を促進します。立脚後期では、股関節の屈筋やヒラメ筋が伸長され、伸筋が抑制されて次の遊脚が誘発されます。また、歩幅や速度の変化による足底感覚や筋の固有感覚によって遊脚の速さも調整しています。
まとめ
このように、歩行には大脳皮質から脊髄まで多くの神経系が関与しています。各々が違う役割を持っていますが、完全に分担されているのではなく、情報の入出力を通じてネットワークを形成し、歩行動作を構築しているということが重要になります。リハビリスタジオ群馬では歩行障害に対するリハビリテーションを実施しています。ロボットスーツHALや免荷式トレッドミル(Medical Care Pit)など最先端の機器を使用することで歩行動作の改善が期待できます。無料体験も実施しておりますので、ぜひお問い合わせください!
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この記事を書いた人
群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。