COLUMNコラム

変形性股関節症について

その他

はじめに

 こんにちは、リハビリスタジオ群馬の竹田です。前回のコラムでは大腿骨近位部骨折について解説させていただきました。今回のコラムでは、変形性股関節症について解説をしていきます。変形性股関節症は、関節軟骨の退行性変化や摩耗による関節破壊と骨硬化や骨棘の反応性の変化が徐々に進行しながら、関節変形をもたらす慢性の股関節疾患です。今回は変形性股関節症に対する基礎知識、整形外科的治療、運動療法について解説をしていきます。最後まで読んでいただけると、嬉しいです。

変形性股関節症の基礎知識

 変形性股関節症は、先天性股関節脱臼臼蓋形成不全などの先天異常もしくは後天的疾患に続発する二次性変形性股関節症と、明らかな原因が不明な一次性変形性股関節症とに分けられます。二次性が大多数を占め、臼蓋形成不全が原因として最も多く、一次性の割合は少なくなっています。
 初期の変化は、関節軟骨における硝子軟骨の変性から始まります。関節軟骨は関節運動により摩耗し、病状の進行とともに薄くなり、軟骨下骨に加わる負荷が増大することで骨硬化が起こります。さらに負荷が集中する部位では、骨硬化、骨嚢胞の形成、骨棘形成がみられ、次第に骨頭及び臼蓋が変形していきます。骨棘の増大や関節包の肥厚は関節安定性を補うための反応と考えられますが、関節可動域制限の原因ともなります。
 病気が進行すると疼痛の増強とともに可動域制限が生じます。骨頭や臼蓋の変形が進行すると可動域制限はさらに高度となりますが、疼痛は軽減することがあります。臼蓋形成不全による二次性変形性股関節症の場合には、大腿骨頭が上外側方向へ亜脱臼する傾向があり、進行例では屈曲、内転、外旋位拘縮を呈することが多くなります。また、日常生活動作では足趾の爪切りや靴下の着脱、和式トイレの使用などに支障が認められるようになってきます。

整形外科的治療

保存療法

 変形性股関節症に対する保存療法には運動療法物理療法、患者教育、薬物療法などがあります。運動療法の主な目的は、関節拘縮の改善や股関節周囲筋の筋力強化により関節応力を軽減させて求心性を高めることです。物理療法では主に温熱療法を用います。患者教育としては、体重のコントロールや杖の使用、疼痛誘発動作を控えるような生活指導などが挙げられます。

手術療法

 保存療法にて症状の緩和が得られない場合や関節症の進行を認める場合には手術療法が検討されます。手術療法は関節を温存する方法と温存しない方法のふたつに大別されます。骨切り術が代表とされる関節温存手術の目的は、股関節亜脱臼や臼蓋形成不全などの構築的な異常を改善し、症状の緩和と関節症の進行を抑制することです。一方で、関節非温存手術の代表は人工骨頭全置換術であり、除痛や関節可動域制限を改善し、股関節機能ならびに歩行機能を回復させることを目的としています。

運動療法

 変形性股関節症に対する治療の原則は保存療法であり、どの年齢においてもまずは保存療法を試みます。変形性股関節症に対する保存療法では、骨盤の前傾により機能的な骨頭被覆量を増加させ、股関節周囲の柔軟化により臼蓋外側に集中するメカニカルストレスを減少させて、股関節の安定性を向上させることが基本的な考え方とされています。そのため運動療法では、股関節拘縮の改善を伴う関節合力の減少を目的に、股関節周囲筋である腸腰筋内転筋群殿筋群に対して柔軟性の獲得とストレッチを行います。また、股関節の機能的な被覆量の増大を目的に、端坐位での腰椎前弯位保持および生理的な骨盤前傾位の獲得、腰椎前弯位を保持した状態での腸腰筋トレーニングなどが勧められます。
 股関節の安定化において、梨状筋、小殿筋、中殿筋は重要とされています。その中でも小殿筋は力学的支持や関節運動を誘導する働きがあり、中殿筋と比較しても求心方向に働くため、股関節の安定化に重要な働きをしているとされています。小殿筋は股関節20°外転位から外転運動を行うことでトレーニングできます。また、深層筋トレーニングを行う場合には、最終域付近での弱い抵抗運動を行うことが良いとされます。

まとめ

いかがだったでしょうか。変形性股関節症に対するリハビリでは股関節周囲筋の関節可動域訓練、筋力強化運動を中心に実施します。メカニカルストレスを減少させることで、可動域拡大、筋力強化、疼痛緩和が期待できます。当施設では専門的なリハビリスタッフがご利用者様に合わせたリハビリプログラムの実施、自主練習の提供を行っています。無料体験も行っているのでぜひ、お問合せください!

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竹田 圭佑

この記事を書いた人

竹田 圭佑

群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。