COLUMNコラム

効率的な筋力増強運動について

その他

はじめに

みなさん、こんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。今回は、効率的な筋力増強運動について解説をしていきます。脳梗塞後遺症などで運動麻痺が生じた患者様は手足を動かすことが困難となることが多く、筋力低下が合併します。筋力が低下すると麻痺した手足を動かすことがより困難となることや転倒リスクが向上することが考えられます。効率的な筋力増強運動について理解していただき、筋力強化に役立てていただけると幸いです。

筋力増強運動の基礎理論

 筋力増強運動を効率的に行うためには、過負荷の原則、漸増負荷の原則、反復性の原則に従ってトレーニングを行うことが重要とされています。その他にも特異性の原則、個別性の原則、意識性の原則などがあります。

過負荷の原則

 通常使用する筋力よりも高い負荷を課さなければ筋力強化は期待することができません。そのためには1RM(1回だけ持ち上げることができる最大の重量)を計測した上で、適切な負荷を設定する必要があります。

漸増負荷の原則

 筋力増強により筋力が増えた場合、負荷を再設定する必要があります。筋力増強運動の前には、必ず1RMの計測を行ってから負荷量の設定を行うことが望ましいとされています。

反復性の原則

 筋力増強運動は即時効果を期待することはできません。このことは、高齢者や麻痺のある方ほど著明にみられます。適切な負荷での筋力増強運動を反復して行うことが重要です。

筋力増強運動の実施

 筋力増強運動は一般的に「過負荷の原則」に基づいて、筋の収縮様式の違いによる負荷量、頻度、回数(収縮時間)について設定を行います。今回は負荷設定、回数設定、方法について説明をしていきます。

負荷設定

 筋力増強の条件は、運動の強度、運動の持続時間、運動の頻度があります。海外の研究では、筋力維持には最大筋力の20%~30%、筋力増強には40~50%以上の負荷量が最低でも必要であると定義されています。筋力増強の負荷の最低基準としては「最大筋力の40%以上」が必要であると定義されることが多いです。
 臨床では、筋力増強も重要ですが、筋群の空間的要素の改善も重要視されています。例えば、1つの関節の屈曲運動では、多くの筋肉が働いています。そのため、多くの筋肉がバランスよく収縮することが重要であり、外傷や麻痺などの後遺症により1つの筋に依存してしまうことは避けなければなりません。筋力増強運動の負荷量設定は空間的要素も考慮しながらすすめていく必要があります。

回数設定

 筋力増強運動の回数設定は対象者や目的により変化します。健常者における筋力増強には通常4~10RMが必要とされています。対象者が整形外科的疾患・外傷による局所的な筋力低下を有する場合では、疼痛などが生じないように原則をもとに回数の設定を行います。高齢者やハイリスクの方には、全身状態を十分に把握した上で、対象者別に回数を設定します。この場合は、積極的な個別の筋力強化ではなく、全身の筋力維持・転倒の予防が主な目的となるため、低負荷高頻度で設定します。

方法

 筋力増強運動の方法としては、錘を使用した方法、マシンを使用した方法、セラバンド、エクササイズボール、徒手抵抗運動、自重による自動運動など様々なものが存在します。対象者に合った適切な方法を選定しなければなりません。実施する際にターゲットとなる筋は、他の周囲筋より筋収縮の張力が低い為、高負荷となると必然的に筋収縮力の強い筋による代償動作が生じた状態でトレーニングをしてしまう可能性が高くなります。そうするとターゲットとなる弱くなってしまった筋は強化されずに、空間的要素のバランスが崩れてしまいます。治療者による評価と適切な方法の提案が必要となります。

まとめ

 いかがだったでしょうか。脳卒中による麻痺や骨折などの筋力低下を引き起こすと自重による自動運動などでも負荷量が高く、運動が困難になる場合があります。当施設ではそんなお悩みを持つ方に向けて、ロボットによるアシストや電気刺激を併用した筋力強化運動を実施して、筋力増強を図っています。自動運動が困難な方でもロボットや電気刺激を併用することで可能となり、筋力増強の効果も多くみられています!お困りの方はぜひお問い合わせください。

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竹田 圭佑

この記事を書いた人

竹田 圭佑

群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。