COLUMNコラム

加齢による歩行動作の変化について

その他

はじめに

 皆さんこんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。今回は、加齢による歩行動作の変化について説明していきたいと思います。近年、転倒とそれに伴う受傷は、高齢者にとって重大な問題であると考えられています。歩行能力と転倒リスクは密接に関係があるとされており、転倒の約5割は歩行中に発生します。実際に、自宅内での歩行や外出先での歩行に不安なことがある方も多いと思います。今回は加齢によって歩行がどのように変化していくのかを説明していきます。

転倒と歩行

 疾患によらない身体機能に関連した転倒の危険因子は、加齢や生活習慣に伴う機能低下によるものであり高齢者の転倒原因の大きな割合を占めています。転倒の危険因子を総合的にまとめた研究によれば、転倒の危険度は筋力の低下、転倒歴の有無、歩行能力の低下、バランス能力の低下が高く、他に視力障害、関節炎、ADL障害、認知機能障害が関連するとされています。その中でも、筋力、歩行、バランスなどの身体要素に関連した要因の危険性が高いことは注目しておきましょう。

加齢に伴う歩行動作の変化

 加齢に伴う歩行の変化に関する研究はさまざまなものがありますが、安定した状態での歩行パターンにおける変化の特徴を示すことが焦点に置かれてきました。そこには時間、距離、運動学、運動力学、筋活動パターンが含まれています。今回はその中でも運動学的変化、筋活動の変化について説明していきます。
 

加齢に伴う歩行動作の運動学的変化

 加齢に伴う歩行の変化に関する研究の一つに高齢者の足踏みパターンに焦点を当てたものがあります。この研究では20~87歳までの健常な男性を被験者としており、各対象者の至適速度と速い歩行速度での歩行動作の違いについて分析をしています。この研究では67歳以上の男性では歩行速度が低下することを示しており、65歳以上で遊脚期が短縮する代わりに立脚期が長くなることが示されています。この研究を行った研究者は高齢者の歩行はまるで滑りやすい表面を歩いている人や暗闇で歩いている人に似ており、すごく慎重だと表現しています。
 加齢に伴うバランス保持と歩行能力低下に関する多くの研究は前述した研究以外にも多くされており、高齢者と若年成人における全般的な遂行能力には差があることがわかっています。

参考文献:Murray MP,Kory RC,Clarkson BH.Walking patterns in healthy older men.J Gerontol 1969;24:169-178

加齢に伴う歩行動作中の筋活動の変化

 加齢に伴う筋活動の変化に関する研究も多く行われています。若年女性(19~38歳)と高齢女性(64~86歳)の筋活動を比較した研究では、筋電図における腓腹筋、前脛骨筋、大腿二頭筋、大腿直筋、長腓骨筋の平均的な活動レベルは若年女性より高齢女性で高かったとされています。これは歩行周期の立脚期で努力して安定性を向上させる結果、この活動が生じたと考察されています。

参考文献:Finely FR,Cody KA,Finizie RV.Locomotion patterns in elderly women.Arch Phys Med Rehabil 1969;50:140-146.

加齢に伴う認知システムと歩行動作の変化

 2つ以上の課題に対して注意を分割する能力は、日常生活で移動を行う際に非常に重要だとされています。例えば友人と話しながら道を渡ることやコップから水がこぼれないように気を付けて歩くこともあると思います。移動能力だけではなく、他の認知課題が要求される場合も日常生活には多く存在しています。高齢者が歩行と同時に第2の運動課題あるいは認知課題を遂行するときには、いずれかの課題を遂行するための能力制限があり、注意に要する資源がより一層必要となること高齢者の情報処理能力には限界があり、2つの課題に効率的に注意を分配することが問題となっています。
 また、転倒を繰り返し経験すると転倒への恐れを抱くようになり、この恐怖心も歩行の変化に影響している可能性があると考えられています。転倒への恐怖心から活動することを避ける高齢者は多く、恐怖心のない成人と比較して、より遅いスピードで歩く傾向にあり、また不安とうつ状態はより高い傾向にあります。このことからも、高齢者にみられる歩行速度の低下は筋力やバランス能力だけではなく、安全な歩行を保障するための意識的な戦略を反映していると考えられます。

まとめ

 今回は近年、問題視されている加齢による歩行動作の変化について説明しました。歩行動作の変化は加齢による筋力低下やバランス能力の低下だけではなく、恐怖心による変化もあることがわかったかと思います。リハビリスタジオ群馬ではセラピストによるマンツーマンでの機能評価や訓練、MCPを使用した歩行訓練などを行い、利用者様の歩行動作の改善を目指しています!また、脳梗塞後遺症などで麻痺のある方に向けては歩行をアシストしてくれるロボットも取り入れてリハビリを行っています!ご興味のある方は無料体験も実施していますので、ぜひお問い合わせください。
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竹田 圭佑

この記事を書いた人

竹田 圭佑

群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。