リハビリ解説!大腿骨近位部骨折について
はじめに
こんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。本日は大腿骨近位部骨折について紹介します。骨粗鬆症を基盤として高齢者に好発する大腿骨近位部骨折は、転倒や打撲などの軽微な外力によって発生することが多くあります。大腿骨近位部骨折の発生率が増加傾向にあり、今後も高齢化に伴い、転倒による患者数の増加が予想されています。今回のコラムでは大腿骨近位部骨折の分類、整形外科的治療、運動療法について解説していきます。最後まで読んでいただけると、幸いです。
分類
大腿骨近位部骨折は、骨董骨折、頚部骨折(骨頭下も含む)、頚基部骨折、転子部骨折、転子下骨折に分類されます。頚部は関節包内、頚基部は関節包内から関節包外におよぶもの、転子部は関節包外の骨折である。大腿骨頚部は骨癒合が得られにくい部分です。理由としては筋力や荷重により骨折線に対し剪断力が作用すること、骨折により大腿骨頭への栄養血管が損傷されやすいことが挙げられます。これに対して、転子部骨折は海綿骨が多く血流も豊富な部位での骨折であり、骨癒合は得られやすいと考えられています。
整形外科的治療
大腿骨頚部骨折に対する保存療法は非転移型でも偽関節発生率が高く、大半が高齢者対象に用いられます。全身状態が許す限り、早期離床を図るために手術療法が選択されます。手術方法には骨接合術と人工骨頭置換術とがあります。非転移型では骨癒合が期待できるため、骨接合術が選択されます。転移型では偽関節や大腿骨頭壊死の発生率が高いため、人工骨頭置換術が選択されます。しかし、なかには人工骨頭の耐用年数を考慮して、転移型でも骨接合術を選択する場合があります。
大腿骨転子部骨折では大腿骨頚部骨折とは異なり骨癒合の得られやすい骨折ですが、変形治癒や拘縮、長期臥床に伴う合併症を防ぐために、骨接合術が選択されることが多いです。
運動療法
廃用症候群や合併症の予防のために速やかに運動療法が開始されます。手術までの待機期間が長い場合には理学療法士や作業療法士などのリハビリ職が術前から介入して、患側以外の関節可動域練習や筋力強化運動、良肢位保持の指導を行います。必要に応じて呼吸筋のトレーニングや排痰練習を行い、肺機能障害の予防をします。
骨接合術後の運動療法
術後早期には手術侵襲が加わった組織や圧痛を認める筋に対して、リラクゼーションと組織間の滑走性改善を目的に、低負荷での筋収縮練習を行います。小転子への転移を伴う不安定型の大腿骨転移部骨折に対し、腸腰筋や恥骨筋の筋収縮練習や股関節伸展位で運動を行う場合には骨折部の安定化に留意して、疼痛を確認しながら遅らせて運動を実施することもあります。
筋力強化練習は、可能な限り早期から下肢への荷重を加えた状態でのプログラムを実施することが一般的です。低負荷の開放運動連鎖(OKC)による抵抗運動は疼痛をコントロールしやすく、荷重練習に先立ち分離した運動を習得することに有用です。
最近ではクリニカルパスの導入により、荷重開始や荷重量、歩行開始の時期などが一定のプロトコルに従って進められることが多いですが、クリニカルパスに則り、画一的に進めることは危険性もあります。常に主治医の先生に確認し、患部の固定性、骨質、疼痛などを総合的に評価して荷重時期を検討したり、荷重量を調整したりすることが大切です。
人工骨頭置換術後の運動療法
骨接合術と人工骨頭置換術とでは荷重時期が異なります。骨接合術は骨癒合を目的とするため、不安定型の骨折や骨折部の固定性が不良である場合には荷重時期を遅らせることもあります。一方で、人工骨頭置換術では術後翌日より全荷重を許可されることが多いです。術後早期には骨接合術と同様に、手術侵襲が加わった組織や圧痛を認める筋に対するリラクゼーションや滑走性の維持を目的とした筋収縮練習を行い、可動域の改善を目指します。また、退院前には脱臼肢位を考慮した生活動作の練習も行います。
まとめ
いかがだったでしょうか。大腿骨近位部骨折は、脳血管障害に次いで寝たきりの原因になるとされています。術後のリハビリテーションでは早期から運動療法を開始することにより、受傷前の歩行機能へと回復させ、社会復帰を図ることが期待されています。受傷後も歩行機能の再獲得を目指して、主治医の先生やリハビリ職と相談をし、早期から運動を開始していきましょう!
リハビリスタジオ群馬では、主に脳梗塞後遺症の麻痺に対してのアプローチを行っています。その他の症状に対してもリハビリの提供をさせて頂いていますので、ご興味ある方はぜひお問い合わせください。無料体験も実施しています。
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この記事を書いた人
群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。