概要
「脊髄損傷」とは、中枢神経である脊髄が傷つき、運動や感覚が障害される病気・障害です。
脊髄は脳とつながる神経の束(たば)であり、脊椎(背骨)のなかに存在しています。脳からの命令を身体の各部位に伝えたり、逆に身体の情報を脳にフィードバックする重要な神経のパイプです。
脊髄はたくさんの神経が集まって一つとなり、上下に伸びる構造をとります。脊髄の役割は位置(高さ)で変わります。そのため、脊髄を理解するうえでは、位置(高さ)と働きの違いを理解しておかなければいけません。
脊髄の名称は頭部から下方に向かって、「頚髄(けいずい)」、「胸髄(きょうずい)」、「腰髄(ようずい)」、「仙髄(せんずい)」と呼ばれています。
脊髄の機能は、身体の部位(高さ)に対応して異なるのが特性です。たとえば、脊髄の中でも首の高さに位置する部分は上半身の運動・感覚を担い、脊髄の下方は下半身の働きを支配しています。
ちなみに、人間の身体のうち中枢神経と呼ばれるものには「脳」と「脊髄」の2つがあり、一度傷を受けてしまうと再生しません。そのため、脊髄損傷では半永久的な後遺症が残ります。
脊髄は背骨によって強固に守られているため、容易に損傷を受けるわけではありません。ただし、脊髄そのものは非常にデリケートです。骨の変形や外部から軽い圧迫でも直接の影響があれば、それに応じた症状が出現します。