COLUMNコラム

脳卒中― 車椅子から歩行を目指す慢性期リハビリ

その他

はじめに:このコラムを読むあなたへ

脳卒中の後遺症で車椅子生活を送っている方の中には、「もう歩くのは難しいのでは」と不安を抱える方も多いかと思います。ですが、発症から半年以上経った慢性期であっても、リハビリを続けることで歩行能力が改善する可能性は十分にあります。

このコラムを読むことで、

慢性期でもリハビリで改善が期待できる理由

車椅子から歩行を目指すための考え方

実際に取り組める運動や工夫

安全にリハビリを進めるための注意点

を知ることができます。読んだ後には「まだできることがある」と前向きな気持ちで、日々の生活に取り入れられるヒントを持ち帰っていただけるはずです。

慢性期でもリハビリが効果をもたらす理由

脳卒中のリハビリは、急性期や回復期に集中的に行われることが多いため、慢性期に入ると「もう変化は望めない」と思われがちです。しかし臨床現場の経験から、慢性期でも脳の可塑性(再び神経回路を作り直す力)や身体の使い方の工夫によって、動作の改善が期待できることが分かってきています。

特に歩行に関しては、

筋力やバランスの強化

正しい動作の繰り返し

麻痺していない側との協調性の改善

によって「車椅子から立つ・歩く」動作へと一歩ずつ進めることが可能です。

車椅子から歩行を目指すためのステップ

1. 立ち上がりの安定を獲得する

歩くためには、まず車椅子から自力で立ち上がれることが重要です。

足を肩幅に開き、前に体を傾ける(前傾姿勢)

手で支えを使いながらお尻を持ち上げる
これらを繰り返すことで下肢と体幹の筋力が養われ、歩行の基礎が整います。

2. 立位保持の練習

立ち上がってから転ばずに姿勢を保てるかが次の課題です。

壁や手すりにつかまって立ち続ける

鏡を見ながら体の傾きを修正する
といった練習で、バランス感覚を取り戻していきます。

3. 支えを使った歩行練習

平行棒内での歩行

杖を使った片麻痺歩行
段階的に進めることで、転倒を防ぎつつ「歩く感覚」を体に再教育していきます。

4. 実生活に近づけた練習

歩く練習が進むと、「廊下を歩く」「トイレや台所まで移動する」など、生活に即したシーンを取り入れることが効果的です。生活動作の中で歩行を繰り返すことで、自立度の向上に直結します。

リハビリで取り組みたい運動例(自宅でも可能)

1. 座位での体幹運動

椅子に座った状態で上体を左右に倒したり、骨盤を前後に傾けることで体幹の安定性を高めます。

2. 足踏み運動

立位で足踏みを繰り返す練習は、歩行に必要なリズム感を取り戻すのに有効です。手すりなどに掴まりながら行うと安全に行えます。また、立って行うのが難しい方はまず座って実施してみると良いかと思います。

3. 膝の曲げ伸ばし・足首の運動

ベッドに腰掛けて膝を伸ばす、足首を動かすといったシンプルな運動も、筋力維持に欠かせません。

4. 歩行に近い動作の反復

廊下の手すりや安定した家具につかまりながら「一歩踏み出す動作」を繰り返すことで、歩行の基礎が定着します。

安全に進めるための注意点

無理をしない:疲労や体調不良を感じたらすぐ休む

転倒リスクに備える:必ず安定した支えを利用する

体調の変化を観察する:痛みやしびれが強い場合は中止する

継続が鍵:少しずつでも継続することで改善の可能性が広がります

気持ちを保つために

リハビリは成果が見えにくい時期もあります。そのような時は「以前できなかったことが、少し楽になった」といった小さな変化を記録すると励みになります。家族や友人と成果を共有するのも、継続の力になります。

まとめ

脳卒中の慢性期においても、「車椅子から歩く」という目標は夢物語ではありません。脳の回復力と身体の適応力を信じて、少しずつ段階を踏んで練習を重ねることで、新たな可能性を広げることができます。

今日からできる小さな一歩を、ぜひ踏み出してみてください。

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大山 直人

この記事を書いた人

大山 直人

令和2年に理学療法士国家資格を習得。同年から令和6年12月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、老健通所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞、脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、神経疾患に対するリハビリを中心に学ぶ。令和7年1月からリハビリスタジオ群馬に勤務。