COLUMNコラム

杖はいつまで必要?卒業するには?

その他

はじめに

こんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。病院を退院してからも杖を使い続けていると、「この杖、いつまで必要なんだろう?」と感じる方は多くいらっしゃると思います。杖は歩行を安全にするための大切な補助具ですが、ずっと使い続けなければならないとは限りません。むしろ、適切なリハビリと使い方を身につけることで、杖から卒業できるケースも少なくないと感じています。
本記事では、杖が必要な理由から正しい使い方、そして卒業までの具体的なステップまでを解説していきます。

杖が必要になる理由

杖は、歩行時の安全性と安定性を高めるために使用します。特に以下のようなケースが有効です。

・脳卒中や脊髄損傷の後遺症でバランスが不安定
・関節の痛みや筋力低下で片脚への体重移動が困難
・退院直後で屋外歩行や長距離移動に不安がある
・転倒予防のための一時的な補助

などが挙げられます。

正しい杖の使い方

安全に杖を活用するには、基本を押さえることが重要です。

1. 杖は麻痺側と反対の手に持つ
反対側で支えることで、体重移動が安定し、歩行バランスが整います。

2. 歩く順番
「杖 → 麻痺側の脚 → 健側の脚」の順で進むとスムーズですが、推進力が低下するため、
「杖+麻痺側の脚 → 健側の脚」の順で歩くことを勧めています。この順であれば推進力が低下せず本来の歩行に近付けると考えています。

3. 階段の昇り降り
・昇り:健側 → 杖と麻痺側
・降り:杖と麻痺側 → 健側
※症状によって異なる場合もあります

4. 杖の高さ調整
肘が20〜30度曲がる高さが目安
靴を履いた状態で、手首の高さにグリップがくるよう調整

間違った使い方のリスク

これまでリハビリをされてきた方は当時の担当セラピストから指導があったかと思いますが、以下のケースが代表的な間違いです。

・麻痺側の手で杖を持つ
・杖に頼りすぎて前傾姿勢になる
・歩幅が極端に狭くなる
・杖先が斜めに地面に当たり滑りやすくなる

これらは姿勢の崩れや転倒の原因となるため注意が必要です。

杖卒業までのステップ

杖をやめるタイミングは、感覚や勘だけではなく、客観的な評価が大切です。

1. 室内歩行の安定
室内で杖なしでも転倒の不安がなく、姿勢が保てること。

2. 屋外短距離の練習
平坦な道を杖なしで歩けるか確認。

3. 段差・坂道への対応
杖なしでも段差や傾斜のある道を安全に移動できるか。

4. 長距離歩行と疲労度の確認
1km程度の歩行でもバランスを崩さないこと。

5. 専門家による評価
バランス・筋力・歩行フォームを確認し、卒業可能か判断。

リハビリスタジオ群馬でできるサポート

1.歩行動画を用いたフォーム分析
杖の接地タイミングや体重移動の癖を分析し、改善点を明確にする。
歩行動画を使用しセラピストがリアルタイムでフィードバックし、その場で修正練習を行う。

2.筋力・バランス向上トレーニング
下肢筋力強化:麻痺側の支持力向上や股関節・膝関節の安定化。
体幹トレーニング:姿勢保持と歩行安定性を高める。
バランス練習:片脚立ちや不安定な床での訓練で転倒予防。
HALや免荷式トレッドミルなどの機器を活用して安全に反復練習。

3.杖卒業に向けた段階的な練習プラン
室内短距離 → 屋外短距離 → 長距離 → 坂道や段差、と負荷を段階的に上げる。
初期は杖使用と杖なしを交互に行い、徐々に「杖なし時間」を延長。

4.屋外歩行練習による実践的サポート
実際の歩道や商業施設、信号のある交差点など、日常に近い環境で練習。
障害物回避、買い物中の移動、公共交通機関の乗降など、実用的な動作を想定。
雨天や夜間など条件を変えて練習することで、安全行動を身につける。

5. ご家族・介助者への指導
杖を使うときのサポート方法、危険な動作の見分け方をレクチャー。
杖卒業に向けた家庭での練習方法を提案。
家庭環境のチェック(段差解消、滑りやすい床の改善など)も実施。

6. 継続的な評価とモチベーション維持
定期的な歩行評価を行い、前回との比較で成果を「見える化」。
動画でビフォーアフターを提示し、達成感を共有。
卒業後も定期チェックや自主トレ指導で再発予防。

まとめ

杖は歩行を守るための大切な相棒ですが、正しい使い方と適切なリハビリを行うことで、手放せる日が来る可能性は十分にあります。
卒業のタイミングを見極めるためには、自己判断だけでなく専門家の評価が欠かせません。

「杖を卒業して自由に歩きたい」という思いがあれば、今の歩き方を見直し、必要なトレーニングを始めることが第一歩です。
安全に、そして自信を持って杖を手放すために、ぜひ私たちと一緒に取り組んでみましょう。

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竹田 圭佑

この記事を書いた人

竹田 圭佑

群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。