”失語症のリハビリ”「MIT(メロディック・イントネーション・セラピー)」

失語症とは?
失語症とは、脳卒中や頭部外傷などの脳の損傷によって、話す・聞く・読む・書くといった言語機能に障害が出る状態を指します。思っていることが言葉にできない、相手の言うことが理解しにくいといった症状があり、日常生活や社会参加に大きな影響を及ぼします。
MIT(メロディック・イントネーション・セラピー)とは?
**MIT(Melodic Intonation Therapy)**は、音楽のリズムやメロディーを活用して言葉を引き出す言語リハビリ法です。
1980年代初期にアメリカで開発され、言語機能が損なわれた左脳の代わりに、音楽やリズムをつかさどる右脳を刺激することで、発話機能の回復を促します。
MITでは、日常でよく使う言葉(例:「こんにちは」「おはよう」など)を、一定のリズムとメロディーにのせて繰り返し発声しながら練習します。手拍子やジェスチャーを合わせることで、身体のリズムとともに自然に言葉が引き出されるようになります。
日本でのMITの取り組み
日本では、1983年に関らによってMITの日本語版(MIT-J)が導入されました。英語とは異なる日本語のイントネーションや文法の特性に合わせて調整され、日本人に適したMIT-Jとして発展しています。
さらに、2022年には「日本MIT協会」が設立され、MIT-Jの資格認定制度の整備や、専門家の育成・普及活動が本格化しました。現在では、医療機関やリハビリ施設、訪問リハビリの現場などでMITが導入され、言語支援の新たな手段として注目されています。
日本MIT協会
MITを体験した方の声
実際にMITを体験した方からは、次のような前向きな変化が報告されています。
● 「あいさつ語がスムーズに出るようになった」
それまで言えなかった「こんにちは」や「ありがとう」といったあいさつが、自然と口にできるようになった。
● 「指さしやジェスチャーで伝えていたことが、言葉で伝えられるようになった」
身振り手振りに頼っていた意思表示が、短い言葉として出てくるようになり、周囲とのコミュニケーションが楽になった。
● 「単語で話していたことが、文で言えるようになった」
「行く」「食べる」など単語だけだった話し方が、「〇〇に行く」「〇〇を食べたい」など、自然な文章になってきた。
まとめ
MITは、音楽の力を活用して言葉の再獲得を目指す画期的な言語療法です。特に、発話が困難な失語症の方にとっては、「声に出せた!」という成功体験がリハビリの大きなモチベーションになります。
日本でもMIT-Jの普及と支援体制が整いつつあり、医療・リハビリの現場での活用が進んでいます。
失語症の方やそのご家族にとって、MITは希望となる選択肢のひとつです。
リハビリスタジオ群馬では、日本MIT協会で講師を務めるMITチーフトレーナーが所属しており、専門的かつ質の高いMITプログラムをご提供しています。失語症のリハビリに関するご相談や体験も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
言語聴覚士、音楽療法学会認定音楽療法士。音楽療法士として脳血管障害専門病院で言語訓練、歩行訓練、注意訓練等に携わった経験から、言語障害に対するリハビリテーションに興味を持つ。言語聴覚士国家資格取得後は、三重大学医学部附属病院の基幹型認知症疾患医療センターに勤務。認知症鑑別診断のための評価やご家族支援等の業務の傍ら、失語症の治療技法であるメロディック・イントネーション・セラピー(MIT)の研究に取り組む。平成27年より群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院に勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、訪問リハビリなどを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・神経難病の患者様のリハビリに携わる。令和7年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。LSVT LOUD認定セラピスト。MITチーフトレーナー。