脳卒中後の筋緊張とは?リハビリ方法について解説!

はじめに
こんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)になってしまうと手足の麻痺や感覚障害など、さまざまな後遺症が残ることがあります。そのなかでもリハビリの現場で多くの方が悩まされるのが「筋緊張」の変化です。「手がつっぱって開かない」、「足が硬くなって歩きにくい」など、筋緊張の異常は日常生活に大きく影響を及ぼします。しかし、適切なリハビリに取り組むことで、筋緊張を和らげて身体機能の改善を図ることができます。このコラムでは、筋緊張の基礎知識から、リハビリの実践例まで紹介していきます。
筋緊張とは?
筋緊張とは筋肉が持続的に、そして無意識的に一定の緊張状態を保つことで、立位や姿勢の維持に必要な働きです。脳卒中によって中枢神経(大脳・脳幹・脊髄など)が損傷されると、運動や姿勢を調整するための命令がうまく伝わらなくなり、筋緊張が異常になります。脳卒中直後は「低緊張(筋がだらんと力が抜けた状態)」になることが多く、やがて時間とともに「高緊張(過剰に筋肉が収縮し突っ張った状態)」へと移行することが多く見られます。これが「痙縮」と呼ばれる状態です。
痙縮の具体的な症状
痙縮は、主に以下のような特徴を持っています。
速度依存性の筋抵抗:関節をゆっくり動かすより、早く動かしたときに強い抵抗が生じる
共同運動パターンの出現:例)肘が曲がり手が握られる、膝が伸びたまま足先が下を向く(尖足)
随意運動との競合:力を入れようとすると、むしろ動かしにくくなる
これらは歩行、着替え、トイレ動作など、日常生活のあらゆる面に影響を及ぼします。また、関節の変形や拘縮にもつながるため、早期からのリハビリがとても重要です。
筋緊張に対するリハビリアプローチ
筋緊張の異常に対しては、複数のリハビリ手法を組み合わせてアプローチします。以下は代表的なリハビリ内容です。
関節可動域訓練(ROM訓練)と他動運動
筋緊張が高い部位は、動かさずにいるとすぐに関節が固まり、筋肉や腱が短縮してしまいます。そこで、リハビリの初期段階では関節をやさしく動かす「他動運動」を中心に実施します。例えば、肘が強く曲がって開かない場合、セラピストが患者様の関節をゆっくりと動かし、緊張の強い筋伸ばしていきます。ポイントは、急がず、痛みを出さず、呼吸を意識しながら行うことです。力を入れない状態で繰り返し動かすことで、脳が「力を抜く感覚」を再学習していきます。
姿勢調整とポジショニング
姿勢の崩れは、筋緊張の悪化を招く大きな要因です。片麻痺によって身体が片方に傾いたままの状態が続くと、筋肉のアンバランスが強化されてしまいます。そこで、ベッド上・車椅子上での姿勢調整(ポジショニング)が必要になります。上肢の緊張が強い方には、腕を少し開いた姿勢でタオルを支えに、下肢が突っ張る方には、膝の裏に小さなクッションを入れて緊張緩和を図ります。このような細やかな調整で、筋緊張をコントロールしやすい環境を作り出します。
川平法などによる神経への刺激
促通反復療法は、麻痺した手足に「反復的な運動刺激」を与えることで、脳に運動のイメージを届け、筋肉の働きを再活性化させる手技療法です。特に川平法では、一方向の反復運動と促通操作を組み合わせて行います。筋緊張が強いと、動かすどころか触れただけで筋肉が反応してしまうこともあります。そんな時でも、「ここを動かそう」という脳のイメージと、「実際に動く経験」をつなげるこの手技は、脳の可塑性を活かした効果的なアプローチとなります。
装具を活用した機能改善
下肢の筋緊張(尖足や内反)に対しては、装具の使用が非常に有効です。短下肢装具(AFO)を装着することで、足の裏をしっかりと床に着けられるようになり、歩行の安定性が増します。高緊張で伸ばしづらい膝には、関節を支える支柱付き装具も活用されます。装具により、筋緊張が歩行パターンが崩れることを防ぎ、リハビリ効果を最大限に引き出せるようになります。
ボツリヌス療法や電気刺激との併用
重度の痙縮がある場合、ボツリヌス療法(ボトックス注射)が有効です。これは、過剰に働く筋肉の神経伝達を一時的に遮断し、緊張を緩める治療法です。また、電気刺激療法で麻痺した筋肉に電気的な収縮を起こしながら運動を促すことで、筋緊張のバランスを整えることも可能です。これらの医療的手段をリハビリと併用することが、最大の効果を引き出す鍵となります。
まとめ
脳卒中後の筋緊張は、患者様の身体と心に負担を与えます。しかし、「筋緊張があると動かない。」と考えるのではなく、「コントロールできる。」と捉え直すことが大切です。早期からの評価と適切なアプローチによって、筋緊張は改善することができます。「動きを取り戻す」ための地道な努力を積み重ねていくことが大切です。
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この記事を書いた人
群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。