COLUMNコラム

リハビリテーションと栄養の関係性について

その他

はじめに

 こんにちは、リハビリスタジオ群馬の竹田です。みなさんは「リハ栄養」という言葉を聞いたことがありますか?健康増進に適切な運動・休養・栄養のバランスが重要であるとされていることは、みなさんご存じかと思います。しかし、急性期病院、回復期リハビリテーション病院に入院されている患者さんは低栄養である割合が高いとの報告が散見されています。低栄養の状態で、レジスタンストレーニングや筋力増強運動を行ってしまうと、低栄養が悪化してしまったり、持久力が低下してしまう可能性があります。今回は、リハビリテーションを行う上で重要となる「リハ栄養」について解説をしていきます。最後まで読んでいただけると嬉しいです!

リハ栄養とは

 リハ栄養とは、栄養状態を含めて国際生活評価分類(ICF)で評価を行ったうえで、適切な予後予測のもとで、リハと栄養管理を実践することと定義されています。低栄養の方では、リハビリと栄養管理を併用することによって、日常生活動作や生活の質の向上を期待できます。
 ICFの心身機能の中には栄養関連の項目が含まれています。心身機能の第1レベルに消化器系・代謝系・内分泌系の機能が、第2レベルに摂食機能、消化機能、同化機能、全般的代謝機能、水分・ミネラル・電解質のバランスも含めた機能があります。そのため、ICFでの評価を行う際には、栄養状態の評価を行うことが必要となります。リハ栄養管理の流れとしては、栄養ケアマネジメントの流れとほとんど同じですが、ICFを活用すること予後予測を行うことが特徴的であるとされています。

筋力低下、持久力低下に対するリハ栄養

サルコペニア

 サルコペニアは加齢に伴い筋力量が低下する原発性サルコペニア、ベッド上安静や長時間の不動などによって生じる活動に関連したサルコペニア、エネルギーとタンパク質が不足したことにより生じる栄養に関連したサルコペニアが代表的なものとして挙げられます。原発性サルコペニアに対してはレジスタンストレーニングが効果的です。また、低栄養を認める際には適切な栄養管理も併用します。活動に関連したサルコペニアでは、不要な安静や禁食を避けて、四肢体幹や嚥下の筋力を低下させないことが重要です。レジスタンストレーニングも有用であるとされていますが、低栄養を合併していることが多いため、負荷量設定などに注意して介入します。栄養に関連したサルコペニアの場合には、適切な栄養管理が最も重要です。他の原因がない場合には適切な栄養管理によってサルコペニアは改善します。

持久力低下

 持久力低下の原因もサルコペニアと同様に、加齢、活動、栄養に分けて考える必要があります。加齢や活動による持久力の低下の場合には、持久力増強訓練を行います。低栄養を認める際には適切な栄養管理も併用します。栄養に関連した持久力低下では、適切な栄養管理が必要です。飢餓で不適切な栄養管理の状態で、持久力増強訓練を行っても、持久力は低下してしまうため禁忌となります。以上のように持久力低下の原因に合わせて、持久力増強訓練を行うべき場合と禁忌の場合を判断していく必要があります。

リハ栄養に用いる指標について

全エネルギー消費量

 全エネルギー消費量は、基礎エネルギー消費量(BEE)× 活動係数 × ストレス係数で計算されます。

 基礎エネルギー消費量は、Harris-Benedictの式で計算されることが多くあります。
 男性:66.47 + 13.75W + 5.0H – 6.76A、女性:655.1 + 9.56W + 1.85H – 4.68A
 ※W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢

 身体活動のエネルギー消費量は以下の式で計算することができます。
 1.05 × 体重(kg) × メッツ × 運動時間(h)

BEE、活動係数、ストレス係数はいずれも推定であるため、全エネルギー消費量の推計には一定の誤差が生じます。そのため、リハ栄養プランの立案、実施後には必ずモニタリングを行うようにします。

エネルギーバランス

 栄養管理が適切かどうか判断するのに目安となるのが、エネルギーバランスです。エネルギーバランスはエネルギー摂取量からエネルギー消費量を引くことで計算することができます。侵襲や悪液質を認めない場合は、エネルギーバランスがゼロであれば、現在の影響状況を維持することができます。体重減少を目標としていないのにエネルギーバランスがマイナスの場合、特にエネルギー摂取量がBEE以下である場合には、今後栄養状況が悪化する可能性が高くなります。
 低栄養の状態で体重増加を目指す場合には、エネルギーバランス+200~500kcal、過栄養で体重減少を目指す場合には-200~500kcalを目安とします。約7000kcalのエネルギーで1kgの体重増減を得られると計算できるため、1か月に1~2kgの体重増減を目指す設定になります。
 

おわりに

 いかがだったでしょうか。機能改善を目的にリハビリを行っていても、栄養状態に配慮しないと状態を悪化させてしまうことがあります。運動習慣ももちろんですが、食生活も目を向けていきましょう。リハビリスタジオ群馬では自宅でできる自主練習の指導なども行っています。無料体験も行っているので、ぜひともお問合せください!

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竹田 圭佑

この記事を書いた人

竹田 圭佑

群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。