COLUMNコラム

麻痺に対する電気刺激療法とは??

その他

はじめに

皆さんこんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。今回は運動障害に対する電気刺激療法について説明をしていきます。近年、電気刺激療法はリハビリに多く使用されています。麻痺に対する有効な治療法としてさまざまな機器の開発が現在でも進められています。今回はその電気刺激療法とはどのような治療法であるのか、詳しく説明していこうと思います。最後までご覧いただき、理解を深めていただけると幸いです。

電気刺激療法とは

 体の表面から一定の強度以上の電流を流すと神経が興奮し、その興奮は両方向性に伝導します。末梢神経を刺激した場合には、刺激した部位から求心性(脊髄・脳)と遠心性(筋)へ伝わり、感覚入力や筋収縮が生じます。これらの反応を応用したものが電気刺激療法です。リハビリに用いられる代表的な電気刺激療法には治療的電気刺激(TENS)と機能的電気刺激(FES)があります。TENSは主に神経筋機能の改善、疼痛や痙縮の軽減に用いられます。FESは、脳卒中や脊髄損傷などにより失われた運動機能に対して、電気刺激を用いて筋を収縮され、動作を再建しようとする方法です。
 脳卒中後の運動障害において主要な病態は皮質脊髄路の損傷です。電気刺激療法は皮質脊髄路の損傷に非常に相性の良い介入方法であるといわれています。電気刺激による感覚入力は皮質脊髄路の興奮性を増大し、下行性出力を増大させます。また電気刺激療法により、運動単位の減少や筋委縮を予防することができるとの報告が多くあります。脳卒中後の運動障害では脳や脊髄、末梢レベルで様々な問題が生じますが、電気刺激療法では運動障害に対して効果的に介入をすることができます。

上肢に対する電気刺激療法

重度運動麻痺に対する電気刺激療法

 重度運動麻痺において電気刺激はその麻痺した筋に筋収縮を誘発することができる治療法の一つであり、その長期的な感覚入力は使用依存の可塑性変化を惹起させる可能性があると考えられています。重度運動麻痺に対して用いられている電気刺激療法にはNMESCCFESFESなどがあります。急性期および回復期においては、重度運動麻痺は筋委縮などの二次的障害につながる可能性があるため、早期から電気刺激による介入を開始する必要があります。重度運動麻痺に対する電気刺激は運動閾値以上且つ十分関節運動が生じる強度でのNMESが標準的です。
 また、脳卒中後の肩関節亜脱臼の発生率は約30%であると報告されています。亜脱臼による持続的な軟部組織への伸張は上腕二頭筋腱や棘上筋腱へのストレスを生じさせ、痛みの発生に寄与する可能性が考えられるため、可能な限り早期から亜脱臼を防ぐリハビリテーションが重要です。亜脱臼の原因としては棘上筋三角筋の弛緩性麻痺であることが考えられており、その2筋に対しての電気刺激療法が効果的です。

中等度運動麻痺に対する電気刺激療法

 中等度運動麻痺とは、随意運動は可能であるが筋出力や分離運動が不十分な状態を指します。より日常生活で上肢を使用できるようにするために、さらなる筋力や分離運動の改善が重要となります。その際、NMESをさらに応用発展させた筋電誘発型電気刺激随意介助型電気刺激(以下、IVES)が有効です。IVESは筋電から比例的に電気刺激を加える随意運動介助型の電気刺激です。随意運動時の筋電に合わせて刺激されるため、さまざまな課題指向型練習に併用することが可能です。IVESの応用した介入方法として手関節背屈筋へのIVESと手関節固定装具を使用したHANDS療法があります。

軽度運動麻痺に対する電気刺激療法

 軽度運動麻痺において標準的な介入方法はCI療法です。電気刺激療法では、選択的に出力低下のみられる筋を刺激する方法が妥当ですが、この課題指向型練習の効果を高める臨床的に有用な方法として末梢神経感覚刺激療法(以下、PNS)があります。PNSは長時間の感覚刺激が皮質脊髄路の興奮性の増大を生じさせるという研究を応用させたものです。PNSは感覚刺激という特性から痛みが少なく、他の運動療法と併用しやすいです。臨床で用いやすい介入方法の一つとして期待がされています。

下肢に対する電気刺激療法

 脳卒中後の急性期では急速に筋萎縮が進行します。下肢筋力はADLや社会参加に関連する強い関連因子です。したがって早期より下肢筋力および運動麻痺の改善は重要な介入対象となります。下肢へのFESも含むNMESの効果についてのシステマティックレビューにおいては、NMESは単独か他の介入と併用することで下肢運動機能の改善に有効であると示されています。NMESが有する遠心性効果を考慮すると筋力の改善を目的とした場合は、可能な限り高強度で実施することが重要であると考えられます。

まとめ

 今回は電気刺激療法について解説をしました。電気刺激療法は他の治療法とも相性が良く、リハビリスタジオ群馬でも積極的に行っています。川平法に電気刺激を組み合わせた治療法や歩行に電気刺激を組み合わせた治療法にご興味のある方は無料体験も行っておりますので、是非お問い合わせください!

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竹田 圭佑

この記事を書いた人

竹田 圭佑

群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。