CI療法について
はじめに
皆さんこんにちは。リハビリスタジオ群馬の竹田です。今回は、CI療法について説明していきたいと思います。CI療法とは片麻痺上肢に対する集中的使用訓練であり、日本では2003年より導入されています。ガイドラインでも軽度〜中等度の麻痺に対する治療法としてグレードA(行うように強く勧められる)となっています。CI療法とはどのようなものか、対象や治療方法について説明していくので、最後まで読んでいただけると幸いです。
CI療法のコンセプト
CI療法のコンセプトは学習性不使用の克服と麻痺側上肢の使用による脳の可塑性であるとされています。片麻痺のある患者さんは筋緊張や感覚障害などの影響を受けた麻痺側上肢を使おうとして過剰な努力と動作の失敗を繰り返します。その一方で、非麻痺側上肢を使えば簡単に目的の動作を達成することができるという経験をします。この経験の反復によって非麻痺側の活動は強化され、麻痺側での活動は抑制されます。これを学習性不使用と呼び、麻痺が改善する可能性が潜在化してしまった状態です。CI療法は不使用状態にある麻痺側上肢を集中的に使うことによって、正しい学習へと導く方法になります。
脳卒中などの中枢神経疾患によって運動野が損傷されると運動麻痺が生じます。しかし、運動野は大脳皮質の中でも可塑的であり、損傷後も変化が可能な部位であると知られています。CI療法のねらいは、集中的に麻痺側上肢を使うことで損傷半球の活動を増加させ、麻痺側上肢・手指の新たな体部位再現を促すことにあります。また、CI療法では非麻痺側上肢を固定し、麻痺側上肢を集中的に使用する条件を整えることによって、損傷半球における活動の相対的な促進を目指します。
CI療法の基本的な流れ
練習時間および機関の長短によるCI療法の効果の違いについては諸説ありますが、結論は得られていません。今回はCI療法の基本的な流れとして、原則とされる練習期間、練習時間、リスク管理等について紹介していきます。
練習期間
平日5日間×2セット=計10日間を原則とし、前後に半日~1日程度の評価を含みます。入院・外来のどちらでも実施することが可能となっています。
練習時間
初日は午前・午後とも各2時間=計4時間、翌日以降は午前2時間+午後3時間=計5時間を1日の練習時間とします。5分程度の休憩を適宜挟むほかに、ストレッチやエルゴメーター、バランス訓練などの運動を1日に20分程度、組み込む場合もあります。
非麻痺側上肢の拘束
非麻痺側上肢の拘束には三角巾や市販のアームスリングなどを用います。拘束は練習時間のみとし、休憩中や生活場面では非麻痺側上肢の使用を妨げないようにします。麻痺側上肢の使用に対する意識およびセラピストの働きかけがあれば、拘束は必須ではありません。
リスク管理
CI療法中の患者さんは、心身ともに疲労が溜まる可能性があります。そのため、著しい疲労や血圧上昇、呼吸困難感の増大などのリスクの有無については主治医の先生と連携しながら見ていく必要があります。
CI療法の進め方
スケジュールとしては初日の午前中に麻痺側上肢の機能に応じて、やや難易度の高いものを含めた10~15項目程度のShaping項目を試行します。Shapingとは「難易度を少しずつ上げてパフォーマンスを向上させること」であり、CI療法に用いられる練習項目をShaping項目と呼びます。作成の際には、日常的な動作の一部を含むこと、動作に目的が含まれていること、粗大動作・巧緻動作・両手動作を含むことなどを考慮しています。CI療法の効果を得るためには、課題指向的かつ日常的な動作の一部であること、単純反復ではなく設定の変更・段階付け・複数項目の組み合わせが柔軟に行えることが重要となります。
同日午後以降は、原則として反復自主練習となります。その後は進捗に応じて、より難易度の高いShaping項目やより日常生活に近い動作や作業を課題指向型練習として組み込んでいきます。
まとめ
本日はCI療法について紹介しました。CI療法の効果はすでに知られていると思いますが、ロボット療法や経頭蓋磁気刺激法などとの併用により治療対象の拡大に向かっています。リハビリスタジオ群馬でもCI療法の基礎を参考にし、上肢麻痺の利用者様に課題指向型練習を積極的に取り入れています。ご興味のある方は、無料体験も実施しているので、ぜひお問い合わせください!
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この記事を書いた人
群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、障害者一般病棟・外来リハビリ、老健入所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞・脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、脳卒中後遺症に対するリハビリを中心に学ぶ。令和6年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。