COLUMNコラム

脳性麻痺リハビリとは? 効果やリハビリ方法のご紹介

その他

脳性麻痺はすべてのお子さんが患ってしまう可能性のある病気です。
少しでも脳性麻痺の影響を減らし、「自分らしく好きなことを、身体を良くしていつまでも」、と望んでいるご家族も多いと思います!
脳性麻痺リハビリは希望を実現するひとつの方法です。

しかし、効果的なリハビリ方法を知らなかったり、ご家族が「どんなことを手伝えるか分からない」というのが現状です。
このコラムでは、脳性麻痺リハビリの効果・方法を解説しますので、
ぜひ参考にしてください!

脳性麻痺リハビリの効果

ここでは脳性麻痺リハビリで期待できる効果を2点ご紹介します。

①運動機能の改善

脳性麻痺リハビリでは手足の動きやすさ、バランス、筋力を改善する効果があります!
改善したい動きを反復するマンツーマンの練習や、ロボットによる歩行練習など様々な方法が報告されています。
しかし、こういった練習は高頻度で行う必要があり、先行研究によって用法・用量にバラつきが出ています。

例えば歩行練習の頻度だと、
「1回30-45分、週2回以上、練習期間2-8か月」
筋力トレーニングなら
「1回40-60分、週1-3回、練習期間6-12週間」
といった具合です。

けっこうな練習量、時間が必要になるわけです・・・
集中してリハビリを続けることが難しいお子さんもいらっしゃいますので、
上記の頻度を目安に、自宅や学校、リハビリ施設で分割して練習するのも良いですね!

そんな中、歩行練習を実施する場合には、
安全な環境で練習することが望ましいので、“部分免荷トレッドミル歩行機器”がお勧めされています。
どんな機器かというと・・・
ハーネスで体を支えるので楽に立つ、歩くことができ、転倒も予防してくれる装置です!

当店では、大人の体重も支える優れもの“メディカルケアピット”を導入しています!
メディカルケアピットとは!?
MCP

②生活動作を改善する

脳性麻痺リハビリは生活動作のなかで、自分でできることを増やすことが目的になります。
特に作業療法では補助具など使用して食事、着替えなどを楽にできるように支援します。

もちろん運動機能が改善して補助具を使用しなくなることがベストですが、
現在の運動機能でできることを増やすこともとても大事!
介助量の軽減や活動量を増やすことを狙って、
できることを増やすために補助具も活用します。

運動機能の改善はどうしても時間を要します。
改善を目指しつつ、徐々に自分でできることが増えれば、
本人のモチベーションも上がりますし、成長とともに自立心も高まります!

一方、モチベーションが下がってしまうと活動量が低下し、全体的な運動機能も低下していく悪循環になってしまいます。
本人、家族がポジティブに頑張れるように、療法士と共に補助具について検討しましょう。

先進的なロボットを使用した歩行練習や、生活動作のモチベーションを上げる方法を取り入れることで、
より効果の高いリハビリを行える可能性があります!

ですが、本人、家族に合ったリハビリ施設を選ぶことはとても難しいです・・・
そこで当店は、
リハビリ体験を受けてから利用開始できるようにご案内しています。

まず体験で確かめてから、リハビリを始めてみることが超重要!!

脳性麻痺リハビリの方法

脳性麻痺に関するリハビリ方法はインターネットで調べても中々出てきません。
医療従事者がよく活用するガイドラインであっても、
リハビリ方法については「十分な科学的根拠はない」といったことが多いです。

そんな中でも推奨されている脳性麻痺リハビリの方法について、
特徴を交えてご紹介したいと思います!

脳性麻痺リハビリ・集中的理学療法

脳性麻痺リハビリは、運動機能を改善させる、また機能低下を予防する目的もあります。
一般的なリハビリの頻度(週1-2回20-40分)では、予防効果になると感じています。

一方、集中的理学療法では週4-5回と高頻度で実施するため、改善効果が認められています。
運動機能のうち、粗大運動(立つ・寝返るなど)に改善が期待でき、
内容としては、立位練習、歩行練習など改善したい動きを反復練習!!
反復練習を成立させるため、バランスボールやおもちゃを使い、お子さんを飽きさせない努力が必要です!

脳性麻痺リハビリ・筋力トレーニング

見落としがちですが筋力トレーニングは重要になります。
筋力トレーニングは弱っている筋肉の強化と同時に、粗大運動(立つ・寝返るなど)を楽にできる作用があります!

内容は、負荷を加えた関節運動や粗大運動などが多いです。
先行研究では、重錘(重し用の砂)を付けたリストバンド、ベストを着用した状態で運動が報告されています。
ややハードなトレーニングになるため、コミュニケーションが難しいお子さん、著しく筋力が弱っているお子さんには適切な加減が必要になります。

脳性麻痺リハビリ・有酸素トレーニング

筋力トレーニングと同様に、有酸素トレーニングも体力向上には重要です。
有酸素トレーニングは、部分免荷トレッドミル歩行練習、歩行と走行、ジャンプや自転車漕ぎなどの内容があり、お子さんの身体に合わせた方法を選びます。
効果は体力向上、歩行距離が延長、移動が安定することが期待できます!

平行棒や手すり、固定式自転車(家庭用の小型のものなど)などの機器があれば、
自宅や学校でも取り入れやすい内容になるので、音楽を流したり歌ったりしながらご家族と一緒に頑張りましょう!

脳性麻痺リハビリ・上肢機能訓練

ガイドラインでは上肢機能訓練は色々な種類がありました。
各種訓練は組み合わせることで効果が期待できるため、それぞれ簡潔に説明していきます。

①CI療法(constraint-induced movement therapy)
麻痺手のみを使ったトレーニングを長時間実施(1日2時間8週間、1日6時間10日間など)。
麻痺手の使用頻度が増加し、、物品操作の改善効果が得られる。
麻痺が強い場合はトレーニングを実施すべきか要検討。

②ボツリヌス療法
痙縮(腕や手のつっぱり、こわばりの症状)を軽減するA型ボツリヌス毒素を投与する方法。
ボツリヌス療法と作業療法を組み合わせることで、上肢機能改善の効果が得られる。
コラム:ボツリヌス療法とは!?

③機能的電気刺激
麻痺により機能低下した筋肉を、電気刺激により収縮力を高める方法。
効果は一時的だが、腕や手の動きが良くなるので他のトレーニングと組み合わせると効果的。
補助的に使用するイメージ。

④ホームプログラム
上肢機能の改善には、日常的にトレーニングを繰り返す必要がある。
1回20分以下の自主トレーニングを週4回程度を実施し、上肢機能が改善した研究報告あり。
リハビリに通う時間・回数が不足していても、療法士と相談して自主トレーニングをつづけることが大事。

乗馬療法

乗馬によるリズミカルな動きが、体幹と股関節の筋肉の働き、姿勢バランスを改善する。
1回20~60分、週1~2回、8~26週間など一定期間実施する。
完全に乗馬の再現は難しいが、バランスボールなどに座ることで代用することが多い。
参考:バランストレーニング器具

まとめ

脳性麻痺リハビリの効果、各種方法などをご紹介しました。
小児のリハビリは利用できる施設が少なく、時間・回数も限られてしまうことが多いです。
ですが、お子さん、家族、療法士で相談しながら、自宅でトレーニングすることで効果が期待できます!
本コラムを参考に是非チャレンジしてみてください!!

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参考文献
診療ガイドライン委員会,脳性麻痺リハビリテーションガイドライン策定委員会 編.脳性麻痺リハビリテーションガイドライン 第2版.金原出版株式会社,2014

宮本 遼一

この記事を書いた人

宮本 遼一

作業療法士

平成22年に作業療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院で勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、障害者一般病棟、外来リハビリ、訪問リハビリ、介護老人保健施設などを経験。平成27年に促通反復療法(川平法)の研修を修了し、その後は主に慢性期(発症から経過の長い)脳梗塞の患者様のリハビリに携わる。令和4年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。