COLUMNコラム

肩の痛みが改善!実際に提供したトレーニングをご紹介!

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脳梗塞・脳出血の後遺症で麻痺が残り、肩の痛みを訴える方が多くいらっしゃいます。
「ズキッとした痛み」、「重苦しい痛み」など症状は様々です。
今回は当店のご利用者さまに提供した『肩の痛みが良くなったトレーニング』を紹介したいと思います!

脳梗塞・脳出血後の肩の痛みはなぜ起きるのか?

脳梗塞・脳出血後の肩の痛みは『肩まわりの筋肉が弱くなるため』が原因として多いです。

肩まわりの筋肉が弱くなってしまうと『痛みの悪循環』に陥ってしまいます。

①麻痺により肩まわりの筋肉が弱くなる。
②何とか肩を動かそうとするため、一部の筋肉に負担が掛かる。
 “いかり肩で腕を動かすことが多い”
③負担が掛かった筋肉は硬く・緊張しつづけ、動かすだけで痛くなる。
④痛みによって肩を動かさなくなり(不動状態)、さらに筋肉が弱くなる。→①に戻る

この悪循環によって、さらに痛みが増加したり、マッサージだけでは解決できないことがよくあります。
経験上、負担が掛かりやすい筋肉は、僧帽筋上部線維、広背筋、三角筋中部線維、大胸筋、上腕二頭筋です。

これら筋肉のある位置『①首、②肩の前面・側面、③肩と胸の間』に痛みが出やすいです!!

解決方法 肩まわりの筋肉を鍛えて痛みを減らす

まずは、マッサージや電気刺激、鍼灸などで出来る限り痛みを取り除きます。
負担の掛かった筋肉は、硬く・緊張しているため、まずここを整えることが先決です。
そのうえで、肩と腕を動かしやすくなったら『一部の筋肉に負担が掛からない運動』を行います。
この運動は利用者さん自身ではわかりにくいことが多いです。
“いかり肩で腕を動かす”など麻痺の影響で陥りやすい悪い動かし方があります。
これを修正していくことが療法士の専門分野になります!!

今回、利用者さんに画像のような3つのトレーニングを施術時間中に提供し、さらに自宅でトレーニングをつづけてもらいました。

画像➀ ペットボトルを内から外に倒すトレーニング
ポイントは身体が左に傾かないこと、肘が内側に移動しないことです。
これらを防ぐことで肩・腕の筋肉を鍛えることができます。

画像➁ ペットボトルを内から外へ滑らせるトレーニング
ポイントは脇が開かないこと、できる限り外に滑らせることです。
筋肉を鍛えつつ、硬くなった筋肉をストレッチすることができます。

画像➂ “いかり肩防止” ペットボトル運搬トレーニング
鏡を見ながらトレーニングすると効果的です。
ポイントは鏡を見て“いかり肩”になったら姿勢を整えることです。
さらに、運動の順番は手首→肘→肩の順になることを意識しましょう。
麻痺の影響で多くの方が、肩から動き、腕を外側に開いてしまい、腕を持ち上げるような苦しい動きになってしまいます。

トレーニングの回数・注意点は以下のとおりです。
回数:
トレーニング1種類ごとに50回・2セット(計100回)。これを毎日!!
注意点:
痛みを感じたら中止。後日、痛みを感じた時の状況を教えてもらう(痛みの場所、どんな痛みか)。
リハビリ利用時に自宅でのトレーニングの状況を聴取し、問題点があれば修正を繰り返します。

大切なことは、『痛みを避けながら不動状態から脱すること』になります。
利用者さん身体状況によって『一部の筋肉に負担が掛からない運動』は異なるため、お身体を見せていただき適切なトレーニング方法を提供したいと考えています。

今回ご紹介したトレーニングを実施することが難しい方(例えば腕が上がらない、ペットボトルを持てない等のお悩みがある方)もいらっしゃると思います。
おそらく麻痺が重度のため困難なことが多いと思いますが、トレーニング方法を工夫することで“やりようはいくらでもあります”。
麻痺が重度な方に向けた、ベッド上でのトレーニング方法、手装具で物品をつかむ方法などありますのでご安心を。
お困りの際はぜひご相談いただけたらと思います!

宮本 遼一

この記事を書いた人

宮本 遼一

作業療法士

平成22年に作業療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院で勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、障害者一般病棟、外来リハビリ、訪問リハビリ、介護老人保健施設などを経験。平成27年に促通反復療法(川平法)の研修を修了し、その後は主に慢性期(発症から経過の長い)脳梗塞の患者様のリハビリに携わる。令和4年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。