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知らなきゃ損!?障害年金とは?

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今回は意外と知られていない“障害年金”について解説したいと思います。
脳梗塞、脳出血などを患ってしまった際、日常生活やリハビリに困らないように保障する仕組みになります。

「障害年金を知らなかった!!」、「金銭的な保障があるの!?」という方は要チェックです。
すでに知っている方は情報の再確認にお役立てください。

●障害年金とは
病気や怪我によって生活や仕事などに支障が出てしまった場合に受け取ることができる年金になります。
病状、後遺症の程度に応じて受給の可否、年金の金額が決まる仕組みです。
私個人で調べた中では、後遺症の程度によって受給額70~140万円/年と大きな差があるようでした。

障害年金は2種類あり、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

障害基礎年金は、自営業や専業主婦、学生の方など国民年金に加入している方が対象です。
受給額は障害等級によって異なり、障害等級は1級、2級に分かれます。
また、子の加算額というものがあります。
子の加算額はその方に生計を維持されている子がいるときに加算がつきます。
子とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。

受給額
1級 約97万円/年+子の加算額
2級 約77万円/年+子の加算額
子の加算
1人目、2人目 1人につき約22万円/年
3人目以降   1人につき約7万円/年

障害厚生年金は、会社員や公務員の方で厚生年金に加入している方が対象です。
障害基礎年金と同様に受給額は障害等級によって異なります。
障害等級は1級、2級、さらに3級もあり3つに分かれます。
さらに1級、2級の方には配偶者加給年金が受給できます。
加えて、障害厚生年金が支給されない程度の軽度の障害状態であれば、障害手当金が支給される場合があります。

受給額
1級 平均標準報酬額(給与、厚生年金を収めた期間によって算出)×1.25+配偶者加給年金
2級 平均標準報酬額(給与、厚生年金を収めた期間によって算出)×1.00+配偶者加給年金
3級 約58万円/年
障害厚生年金は給与、厚生年金を収めた期間で受給額が算出されるため、年金額は個々人で大きく異なるようです。
配偶者加給年金
1級、2級のみ 約22万円/年
配偶者が65歳未満、年収850万円未満であることが条件

以上が障害年金の簡単な説明になります。
私自身、障害年金を知った時には「こんなに助かる仕組みがあるのか!」と驚きました。
しかし、障害年金について知らない、知らされていない方が多くいらっしゃるようです。
インターネットやSNSで調べてみると「脳梗塞、脳卒中になった後、障害年金について説明を受けていない」、「どんな人が受給できるの?」というのお悩みが多いようです。
ここからは受給要件についてもお伝えしたいと思います。

●受給要件について
脳梗塞、脳出血によって後遺症に麻痺が生じた場合、受給要件には基準があるようです。
以下は日本年金機構ホームページの記載内容です。

障害等級 1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
障害等級 2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
障害等級 3級
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
引用:障害等級表

麻痺によって上肢・下肢などの広範囲にわたる障害がある場合には、「上肢の障害」、「下肢の障害」、「体幹・脊柱の機能の障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「肢体の機能の障害」として認定するとされています。
「肢体の機能の障害」の認定には以下のような基準があります。

“関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する”
具体的には各項目について計測内容が記載されています。
関節可動域については、頭部・体幹・上肢・下肢の各関節がどの程度可動範囲が保たれているか計測。
筋力については、筋力が正常~消失までの5段階のうちどの程度か計測。
四肢囲の測定は、上腕・前腕・大腿・下腿の周径を計測。
四肢長の測定は、上肢・下肢の長さを計測。
残念ながら、巧緻性、速さ、耐久性については具体的な計測内容はありませんでした。

最後に、“日常生活における動作と身体機能”というのは手指の機能、上肢の機能、下肢の機能がどれだけ保たれているか見るようです。
➀手指の機能
・つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
・握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
・タオルを絞る(水をきれる程度)
・ひもを結ぶ
➁上肢の機能
・さじで食事をする
・顔を洗う(顔に手のひらをつける)
・用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
・用便の処置をする(尻のところに手をやる)
・上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
・上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
➂下肢の機能
・片足で立つ
・歩く(屋内)
・歩く(屋外)
・立ち上がる
・階段を上る
・階段を下りる

ここまでが障害等級、身体機能に関する受給要件になります。
実はこれらは受給要件の一部でしかありません。
その他、「保険料の給付要件を満たしているか」など事務的な要件もあるので要確認です。
引用:障害年金ガイド

今回、コラム作成にあたり情報収集を行いましたが、障害年金の手続きには社労士さんなど専門家の協力を得ているケースが多いようです。
参考:障害年金の受給事例

堅苦しい情報が多く、受給の手続きに二の足を踏んでしまうかもしれませんが、
今後のご自身の生活のため、身の回りの人達のため、コラムの情報を活用していただけるとありがたいです。

宮本 遼一

この記事を書いた人

宮本 遼一

作業療法士

平成22年に作業療法士国家資格を取得。同年から令和4年3月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院で勤務し、急性期一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、障害者一般病棟、外来リハビリ、訪問リハビリ、介護老人保健施設などを経験。平成27年に促通反復療法(川平法)の研修を修了し、その後は主に慢性期(発症から経過の長い)脳梗塞の患者様のリハビリに携わる。令和4年4月からリハビリスタジオ群馬に勤務。