筋疲労とは?リハビリを続ける上で大切なポイント

はじめに
「リハビリをした後に体が重く感じる」「筋肉がだるい」「思うように力が入らない」——そんな経験はありませんか?それは筋疲労が原因かもしれません。
筋肉を使い続けることで一時的にパフォーマンスが低下し、思うように体が動かなくなる状態を筋疲労といいます。日常生活での運動やリハビリを続けるうえで、この筋疲労を正しく理解し、適切な回復方法を知ることはとても大切です。
特に、脳梗塞や脳卒中のリハビリでは、筋肉だけでなく神経系の疲労も影響を及ぼすため、一般的な筋疲労の原因とともに、脳卒中特有の要因も理解することが重要です。そこで今回は、筋疲労の一般的な原因と脳卒中リハビリに特有の要因、回復方法、そして予防のポイントについて詳しくお話しします。
筋疲労って何が原因?
筋疲労には一般的な要因と、脳卒中後のリハビリ特有の要因があります。
【一般的な筋疲労の要因】
乳酸の蓄積
運動をすると、筋肉の中に 乳酸 という物質がたまります。乳酸がたまると筋肉の動きが悪くなり、「だるさ」や「力が入りにくい」といった感覚につながります。ただし、乳酸自体は悪者ではなく、回復の過程でエネルギーとして再利用されることもあります。
エネルギー不足
筋肉を動かすためには、ATP(アデノシン三リン酸) というエネルギー源が必要です。しかし、長時間の運動やリハビリを行うと、このATPが消費され、十分に補充されないと筋肉の動きが鈍くなります。その結果、疲れやすくなったり、力が入らなくなったりします。
筋肉の損傷
運動やリハビリを頑張ると、筋肉の繊維に細かい傷がつくことがあります。これ自体は成長のために必要なプロセスですが、修復が追いつかないと筋肉の疲労が抜けにくくなることもあります。
【脳卒中リハビリに特有の筋疲労の要因】
神経伝達の低下
脳卒中の影響で、脳からの信号が筋肉にうまく伝わらないことがあります。そのため、健常な人と比べて少ない力で動作していても、筋肉が過度に疲労しやすい状態になっています。
筋肉の萎縮と脱力
長期間の寝たきりや動かない時間が長いと、筋肉が弱り、少しの動作でも疲れやすくなることがあります。特に、麻痺側の筋肉は使わないことで更に萎縮し、動かすこと自体が負担になってしまいます。
代償動作による過度な負担
脳卒中後、麻痺側の筋肉をうまく使えないことで、健側の筋肉に過剰な負担がかかることがあります。その結果、健側の筋疲労が進み、日常生活動作やリハビリに支障をきたすことがあります。
運動制御の障害
脳卒中後のリハビリでは、脳の可塑性(適応能力)を活かしながら新しい動作を学ぶことが重要ですが、この過程で筋肉に余計な負担がかかりやすく、結果的に筋疲労が生じやすくなります。
筋疲労を早く回復させるには?
「疲れた筋肉をそのままにしておくと、翌日もしんどい……」そんな経験はありませんか? ここでは、筋疲労からの回復を早める方法をご紹介します。
クールダウンとストレッチを忘れずに
運動やリハビリの後に、軽いストレッチや深呼吸をすると、血流が促進されて疲労物質が排出されやすくなります。特に、ゆっくりと筋肉を伸ばすストレッチをすると、翌日の疲労感を軽減できます。
栄養をしっかり補給する
筋肉の回復には、食事もとても大切です。以下の栄養素を意識して摂るようにしましょう。
タンパク質(鶏肉、魚、大豆製品など):筋肉の修復を助ける
炭水化物(ご飯、パン、パスタなど):エネルギー補給に必要
ビタミンB群(豚肉、卵、ナッツ類など):疲労回復をサポート
ミネラル(マグネシウム・カリウム)(バナナ、ほうれん草など):筋肉のけいれんを防ぐ
質の良い睡眠をとる
睡眠中に筋肉は修復・回復するため、しっかり眠ることが大切です。スマホを見ながら寝ると睡眠の質が下がるので、寝る1時間前には画面を見ないようにすると良いですね。
マッサージや温冷療法を試す
疲れた筋肉をほぐすために、軽くマッサージをしたり、お風呂で温めたりするのもおすすめです。特に、温めた後に冷やす「温冷療法」 は、筋肉の炎症を抑えつつ血流を改善する効果があります。
休むだけでなく「軽く動く」ことも大切
完全に休むよりも、軽いウォーキングやストレッチをしたほうが、回復が早くなることが分かっています。これをアクティブレスト(積極的休養)といいます。
筋疲労を防ぐためにできること
疲労が溜まりすぎる前に、日頃から予防することも大切です。
✔ ウォームアップをしっかり行う✔ 正しいフォームで運動やリハビリを行う✔ こまめに水分補給をする✔ 適度な休息をとる
まとめ
「筋疲労」と聞くと、スポーツ選手やハードなトレーニングをする人の話のように感じるかもしれません。でも、日常生活の中でも筋疲労は起こります。
リハビリや運動を続けるうえで、「疲れたな」と感じたら無理をせず、適切なケアをして回復を促すことが大切 です。適度に体を動かしながら、食事・睡眠・ケアをしっかり行い、疲労をため込まない習慣を身につけていきましょう!
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この記事を書いた人
令和2年に理学療法士国家資格を習得。同年から令和6年12月まで群馬県玉村町にある医療法人樹心会角田病院、介護老人保健施設たまむらで勤務し、回復期リハビリテーション病棟、老健通所リハビリを経験しながら、主に脳梗塞、脳出血・脊髄損傷・骨折・神経難病の患者様のリハビリに携わる。その間に神経領域の学術大会・研修会に参加し、神経疾患に対するリハビリを中心に学ぶ。令和7年1月からリハビリスタジオ群馬に勤務。